「誰にでもできる影から助ける魔王討伐」は、異世界転生ジャンルのバトル漫画です。
webサイト「Comic walker」で掲載されている作品で、小説サイト「カクヨム」作品のコミカライズ作品です。
Contents
主人公は転生勇者ではなく、とある神官
協会の神官であるアレスは、異世界召喚された勇者、藤堂と王室出身の剣士、魔法使いとパーティを組み、ともに魔王討伐に向かうことになります。
教会の中でも最高クラスの力を持つアレスは、その力を隠しながら、パーティメンバーのレベルアップをさり気なくリードする立場になりますが、事はそううまく行かず…というお話です。
この手の物語は、最初はギクシャクするけど段々と仲が深まって…本格的にバトル展開に進むという流れになるのが王道ですが、アレスと藤堂たちとのすれ違いがとにかく続きます。
異世界ファンタジーものでは、仲間が力を合わせてのバトル展開が王道ですが、本作ではそれよりも、未熟な勇者たちを導くアレスの苦労に焦点があたっています。
中間管理職がコネ入社の新人に振り回される物語
アレスは一介の戦士として優秀な能力を持っており、目標達成度意識が高く、実際に教会の中でも信頼が厚いと言えるでしょう。
それに対して勇者藤堂たちは戦闘経験もなく、甘い考えで無謀な行動に出ようとします。
(出典:「誰にでもできる影から助ける魔王討伐」)
※勇者藤堂。ちょっと精神的に不安定なところがあります。
同じような構図は、現代社会の会社組織でもよく見られます。
つまり、会社上層部から無理難題を押し付けられている中間管理職と、残念な新人社員の関係と同じです。
しかも異世界召喚された勇者、名家の生まれである女の子たちという設定は、現代で言うならバリバリのコネ入社みたいなものでしょう。
そんなサラリーマンの悲哀を一身に背負うアレスの奮闘ぶりが楽しめる作品です。
バトルよりも管理職の苦労が描かれている
本作は異世界転生ファンタジーの体裁をとっていますが、その中身は、組織の中でもがくサラリーマンの悪戦苦闘モノといっていいでしょう。
旅がはじまったあとも、アレスは「男である」という理由でパーティを追い出され、しかしそれでも教会からは任務続行を命じられ、さらに優秀だけど物を言う部下が増え…他にも勇者パーティを襲う色々な受難が続きます。
管理職視点ではアレスにも問題がある
ちなみに、現代社会では、優秀な社員が中間管理職になると失敗するパターンとして、「なんでも自分でやってしまう」というものがあります。
面倒な仕事をすべて上司がやってしまうと、部下が成長しなかったり、「自分はもっとできるはず」と部下が暴走してしまいます。
そこで、優秀な管理職は部下を信頼し、ある程度難しいことも任せ、失敗したら自分が尻を拭うというスタンスを取ります。
表面上は藤堂たちの残念ぶりが目立つ本作ですが、実はアレスもアレスで管理職として問題ある行動をとっているのです。
藤堂たちは勇者パーティとして、そしてアレスは中間管理職として、今後ちゃんと成長していけるのかという、ハラハラドキドキを楽しめるのが本作の魅力のような気がします。
ファンタジーを舞台にした管理職の苦労の物語
以上、「誰にでもできる影から助ける魔王討伐」の紹介でした。
無双度:★★★
ハーレム度:★★
ギャグ度:★★
シリアス度:★★★
バトル度:★★★
スローライフ度:★
中間管理職の悲哀ぶりを見たい人にオススメ
剣と魔法の世界を舞台にした、サラリーマンの奮闘が楽しめます
むしろ、バトルよりもそういう要素を楽しむことをオススメします