ここ数年、「異世界転生」というジャンルの漫画が流行っています。
これは、「現代で生活している私たちが、突然の事故で死亡してしまい、別の世界で生き返り、第2の人生を歩む」という設定の漫画です。
生前と同じ姿で転生することが多いですが、赤ん坊から転生するパターンや、中にはモンスターに転生する作品もあります。
代表的な作品として「転生したらスライムだった件(外部サイト)」が挙げられます。
このようなタイプの漫画が数年前から人気になっているようで、TUTAYAでも特設コーナーが作られていることもあります。
一つの漫画がブームになることはよくありますが、一つのジャンルがここまで人気になるのは珍しいように思います。
私もこのジャンルの漫画をたくさん読んでいて、面白い作品がたくさんあるなあと感心しています。
そこで、「異世界転生」というジャンルがなぜ面白く、ここまで人気があるのかを考えてみました。
異世界転生マンガは何が面白いのか、本当に面白いのか気になる人は参考にしてみてください。
Contents
異世界転生マンガに共通する要素
異世界転生マンガには、「現代人が別の世界に転生する」という設定以外にも、共通点がいくつかあります。
①生前は平凡もしくは不遇な環境
転生する主人公は、もともと現世で無職やニート、社畜などの不遇な環境で生きているか、ごく一般的で平凡な人生を送っていることが圧倒的に多いです。
どちらにしろ、現世に未練や悔いが少ないことが大半です。
②転生先の世界は中世ファンタジー
転生する世界は、ロールプレイングゲームでみられる、剣と魔法でモンスターを倒すような、中世ヨーロッパのような世界観が多いです。
スマホやネットゲームをやったことがある人にとっては、一度は憧れる世界観です。
③転生時に大きな力をもらい、異世界で大活躍する
転生するときに、魔法の力やスキルの面で、大きな力を授かるのが基本です。中には神様的なキャラクターが現れて力をもらうこともあります。
その力は、転生先の世界では世界最高レベルの大きな力や、やりたいことを楽にかなえる便利な力であることが多く、力を授かった主人公は異世界で大活躍します。
大活躍のパターンには、普通の人には倒せないような敵を楽々倒したり、女の子にモテモテになったりというパターンが多いですが、悠々自適にスローライフを送るパターンもあります。
「不遇だった自分が転生して大活躍!」が味わえる
異世界転生マンガの多くは、上にあげたような共通点を持っているのですが、これらをまとめると、異世界転生マンガの魅力をこう表現できると思います。
現世で不遇(平凡)な人生を送っていた自分だけど、
大きな(便利な)力を手に入れて、
憧れの世界で大活躍・モテモテ(orストレスフリーな生活)!
そのため、ゲームや漫画の世界に憧れている人や、大活躍してチヤホヤされたいという願望がある人、ストレスのないスローライフを望んでいる人達の夢を叶えるような展開を味わうことができるのです。
異世界転生マンガが流行る理由には、このような魅力があるからだと私は思います。
これまでの少年漫画にはない魅力がある

このような異世界転生マンガは、これまでの少年(少女)漫画とは大きく違う点があります。
とういうのも、これまでの少年漫画は、主人公は読み手である私たちと「距離」のようなものがあると私は思います。
漫画には、「強力なを持った主人公たちのバトルもの」「才能があるキャラが活躍するスポーツもの」「美男美女が織りなす恋愛もの」など、色々なジャンルがあります。
しかし、どれも私たちが現実で彼(彼女)らと同じように活躍することはイメージできないでしょう。
従来の漫画には、一種の「距離」のようなものがあります。
もちろん、だれもが経験するような平凡な日常を漫画にしても面白くないわけで、そのような「非日常」を体験できるのがこれまでの漫画の魅力です。
しかし、異世界転生マンガは、「転生」というワンステップを挟むことで、私たち自身と漫画の世界の距離をなくし、「地続き」にしてくれる効果があると思います。
もちろん転生は現実には起こりえないのが世の中の常識ですが、それでも転生という現象が存在しないということの証明はされていません。
そのため、「もしかしたら転生という出来事があって、そして憧れの世界で夢のような活躍を・・」と妄想させてくれる魅力があるのです。
つまり、「転生」というワンステップによって、これまでの漫画にはなかった夢を与えてくれるとことが、大きな違いだと私は思います。
「見返し展開」が多いのも異世界転生マンガの魅力
異世界転生マンガには、このような面白さがありますが、それ以外にも「見返し展開」がよく見られるのも楽しめる点です。
異世界転生後は、慣れない主人公を小ばかにしたり、陥れようとするキャラクターが現れることが多いものです。
しかし、転生後に大きな力を授かった主人公が本来の力を発揮することで、その相手をコテンパンにしてしまう・・というのを「見返し展開」と私は呼んでいます。
この「この見返し展開」は、古くは水戸黄門をはじめ、漫画以外の映画やドラマなどでよく好まれるストーリーです。
数年前に大流行した「半沢直樹」なんかもこれに当たります。
異世界転生モノでは、「大きな力をもった主人公が慣れない異世界に戸惑う」というステップがあります。
そのため、主人公を小ばかにするライバルを登場させやすいだけでなく、その相手を簡単にやっつけることで主人公が自分の強さが自覚できるので、「見返し展開」と相性がいいのです。
そんな展開が自然に起こせるので、作品ごとの色々なバリエーションの「見返し展開」が堪能できるのも、異世界転生マンガの魅力だと言えます。
理不尽にいい思いができる妄想くらいさせてほしい
このように、「異世界転生マンガがなぜ面白いか」という魅力について、私の意見をまとめてみました。
異世界漫画は、突然憧れの世界に転生し、努力なしに大きな力を手に入れ、夢のような生活をするという、「理不尽にいい思い」ができる展開が多いです。
私たちが生きる現実世界は、理不尽なことが本当にたくさんあります。
既得権益で裕福な生活をする先人、生まれた家系に恵まれて幸せな生活をする人がいる一方、悪人に騙されてしまうなどの不遇な人もいます。
「現実世界は理不尽ばかり」と感じる人も少ないないはずです。
そんな私たちにとって、異世界転生マンガは、これまでの漫画よりも、よりリアルに自分が非現実の世界を体験できるような気分にさせてくれるのです。
現実で理不尽な思いをして疲れているんだから、理不尽に美味しい思いをする気分を味わったっていいじゃないですか!
異世界転生マンガの人気は今後も続くでしょう
このような魅力の異世界転生マンガですが、この人気はしばらく続くと思います。
だんだんとアニメ化されてくる作品も増えてきており、バリエーションも色々なものが生み出されています。
見返し展開に特化している「盾の勇者の成り上がり(外部サイト)」
わき役キャラなのに主役を張る「治癒魔法の間違った使い方(外部サイト)」
逆に異世界から帰ってきたおじさんによるギャグマンガ「異世界おじさん(外部サイト)」
などなど、良作品がたくさんあります。
「不遇だった自分が転生で大活躍!」気分を味わいたい人や見返し展開が好きな人は代表的な作品を読んでみるのをオススメします。
また、そうでない人も、異世界転生モノは本当に色々な種類があるので、珍しそうなものをつまみ読みすると楽しめるかもしれません。