異世界漫画の醍醐味の一つに無双展開というものがあります。
転生によって大きな力を入れた主人公が、どんな敵でも圧倒的な力でやっつける展開です。
似たような言葉に「チート」という言葉がありますが、チートは単純に戦闘力が高いだけにとどまらず、便利な能力も含みます。
それに対して「無双」とは、戦闘で圧倒的な力を誇ることを意味します。
便利な能力で活躍するのも異世界漫画の楽しいところですが、圧倒的な力で強敵を簡単にねじ伏せる無双展開が好きな人も多いでしょう。
そこで今回は、毎日365日異世界漫画を読んでいる私が、無双展開が特にハッキリ楽しめる注目の作品をご紹介します。
Contents
転生賢者の異世界ライフ: 第二の職業を得て、世界最強になりました

作品特徴
ジャンル:バトル・ファンタジー
無双タイプ:賢者・テイマー(魔物使い)
無双きっかけ:転生直後に無双化
ド迫力の魔法で爽快な無双
現世でブラック企業の社畜として働いてた佐野ユージ(さのゆうじ)が、PC作業中に突如異世界に転移してしまいます。
彼に与えられた職業はテイマー(魔物使い)という不遇職ですが、スライムを使って大量の魔導書を読むことで、最強の魔法の力を手に入れることになります。
ユージはもともと物事に動じない性格(悪く言えば鈍感)で、転生したあとも夢の世界と思い込み、死んでしまえば目覚めて仕事に戻れると思い、モンスターにあえて襲われようとします。
だいたい異世界転生の主人公は転生を早めに受け入れ喜ぶことが多いですが、ユージはそんなことより仕事に戻ることを考えていて、プロの社畜ぶりを発揮しています。
その後スライムをテイムし、さらに魔法の力を手に入れるのですが、ユージはこんな性格なので、自分の強さにに自覚がなく、他の人よりもどれくらい自分が強いのかにも興味がありません。
その結果、周りを驚かせるレベルの魔法を無自覚にぶっ放す、いわゆる「無自覚無双」が楽しめます。
また、魔法の力で無双する力を手に入れたユージですが、魔法使いが弱点になりやすいのは、敵からの攻撃に弱いところでしょう。
彼はテイムによってスライムに辺りを散策させ、自分の魔法をスライムを通じて放つことができます。
ちなみに、スライムを使うことで、散策や斥候が自由にでき、シーフ的な職業の能力も発揮できるところが、なおさら彼を強くさせています。
そして、本作の無双具合を語るうえで最大の特徴は、ユージの放つ魔法の強力さの描写です。
ユージが最初に放つ魔法「終焉の業火」は、ドラゴンを一撃で骨にする威力を放ちます。
本作は、綺麗で細かく描写している絵のタッチということもあり、ユージの魔法の威力を強烈なインパクトで描いています。
(出典;「転生賢者の異世界ライフ: 第二の職業を得て、世界最強になりました」)
※現世の普段着でこんな凶悪な魔法を放つ主人公が他にいただろうか・・
本作では、たびたび人知を超えるような強力なモンスターが現れますが、ユージの凶悪な魔法で、それらを見事に退治する爽快さを味わえるのが本作の魅力です。
オススメポイント
強力な魔法を強烈なインパクトで見られる爽快さ
愛らしいスライムとのタッグで凶悪な魔法攻撃
元社畜の主人公による無自覚無双
即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。-ΑΩ-

作品特徴
ジャンル:バトル・冒険もの
無双タイプ:特殊能力
無双きっかけ:転生する前からチート能力持ち
念じただけで相手を殺す絶対無敵の主人公
本作は、修学旅行中に、クラスメイトと一緒に異世界転生しまった高遠夜霧(たかとうよぎり)が、もともと持っていた特殊能力で異世界を無双する物語です。
異世界でいきなりドラゴンに襲われた夜霧は、同じく襲われたクラスメイトの壇ノ浦千知千佳(だんのうらともちか)を守るために、ドラゴンを即死させます。
このような展開からスタートし、その後も自分たちに襲い掛かる敵たちを瞬殺していくというストーリー展開です。
魔法、物理、特殊スキルなど、異世界転漫画では色々なパターンの無双ぶりが見られますが、本作のように「念じたら相手を殺せる」というのは一番強い能力だと言っていいと思います。
こういう能力持ちを倒すとしたら、相手から認識されないところから狙撃のような攻撃が想像できますが、夜霧はそのへんの対応もバッチリです。
彼は、特殊能力以外は普通の人間なので、肉体の強さは一般人のため、魔法や物理攻撃を食らったらひとたまりもないのですが、相手の敵意や殺意を自動的に察知する能力があります。
そのため、攻撃を食らう前に、自分に向けられた殺意に気づき、殺られる前に殺ることが可能です。
このような主人公なので、敵が弱いと話になりません。
そのため「勇者」や「賢者」、「支配者」といった、強力なスキルや能力の持ち主が多いです。
他の作品でこういう敵キャラに登場されると、チート能力を持った主人公でも苦戦してしまうでしょうが、夜霧は自分の能力を駆使することで相手を見事に即死させます。
他の作品だと強敵になるようなボス級の敵を、夜霧の即死能力でバタバタなぎ倒す無双展開が本作の魅力です。
オススメポイント
念じただけで相手を殺せる史上最強のチート
相手の殺意にオートカウンターで守りも完璧
賢者や勇者など、敵もチートだがそれを上回るチートぶりが楽しめる
村人ですが何か?

作品特徴
ジャンル:バトル・冒険もの
無双タイプ:物理メイン
無双きっかけ:だんだんと修行を重ねて強くなる
村人が勇者を守るために限界を超えまくる
異世界に転生するも、村人という平凡な職業のリュートは、勇者という職業を与えられた幼馴染の娘、コーデリアと楽しく生活していました。
コーデリアの旅立ちの日、リュートはコーデリアを慕うもう一人の幼馴染に騙されて殺されてしまいます。
消えかかる意識の中、コーデリアを守る力がないことを悔やんだリュートは、特殊な方法で、意識を持ったままタイムスリップし、もう一度異世界での人生をやり直します。
そして、今度は彼女を守る力を手に入れるため、村人という職業の制限を超えるために色々な修行を積んでいく・・というストーリーです。
異世界転生モノでは珍しく、最初は弱いがだんだん強くなるというパターンです。
しかし、強くなったあとの無双ぶりが、なかなかすごいものがあります。
リュートの職業は「村人」なので、勇者や賢者のように、剣技や魔法などの普通のスキルは使えません。
そこで、自分に身についているスキルを駆使して限界を超えたり、抜け穴的に強力な力を手に入れていきます。
そして強くなったリュートは、勇者として成長したコーデリアを守るべく迎えに行きます。
勇者であるコーデリアもそこそこ強いため、彼女が苦戦するのは魔王とか龍とか鬼レベルなんですが、それを軽々と倒すという無双ぶりが本作の魅力です。
また、村人らしく、「農作物栽培」というスキルを持っているリュートは、戦いの中にそれを採り入れます。
地面に植物を張り巡らせて、相手の位置を探るなどの、独特の戦い方も見られます。
ただ「弱い設定としての村人」ではなく、戦いの中に村人らしい要素を取り入れているところに原作者のこだわりが見られます。
色々なバトル漫画がありますが、農作物や植物を戦いに取り入れるのはかなり珍しいです。
オススメポイント
最弱設定されがちな村人が世界の限界を超えて最強に
最初からチートではなく、修行の末に最強に
村人ならではの植物栽培スキルを使った戦いも新鮮
失格紋の最強賢者

作品特徴
ジャンル:バトル・学園もの・育成もの
無双タイプ:魔法
無双きっかけ:転生前から強く、転生後にさらに強くなる
強くなるために転生したら、周りが弱くなってました
剣と魔法の世界で魔法を極めた主人公ですが、生まれ持った資質(この世界では紋章)によって個人の強さが決まるため、自分の成長に限界を感じます。
その限界を超えるため、彼は魔法によって転生することに。
転生は無事成功し、望む紋章を手に入れるのですが、彼が転生した未来の世界では、魔法の力が衰退していて・・・という展開です。
本作は、日本人が異世界に転生するのではなく、異世界のような世界観で生きた男が、同じ世界の未来に転生するという設定です。
異世界転生漫画では、このような設定の作品は結構あり、異世界転生漫画のひとつのテンプレになっていると思います。
大体このシチュエーションでは、もともと強かった主人公が転生したら、未来の世界は魔法や戦闘技術が衰退しており、その結果主人公が無双できる環境が完成する・・というパターンが出来上がります。
マティアスが転生で手に入れた紋章は、未来の世界では最弱扱いされており、彼は行く先々でバカにされますが、その都度強力な力で無双して、鼻を明かす展開が楽しめます。
また、本作の面白いところは、強力な魔法を放って敵を倒すのではなく、相手の魔法を反射させたり、仲間と連携して敵を倒すところです。
強力な魔法をぶっ放すのも爽快ですが、前世で色々な魔法や戦い方に精通しているマティアスが、仲間や相手に合わせながら最適な攻略法を考えて対応します。
異世界転生マンガでは、無双する様子を見せたいがために、バトルが大味になってしまう作品もありますが、本作は、戦闘パートの展開が練られていて、敵に合わせた色々な戦い方が見られるのが魅力です。
無双は無双ですが、圧倒的な力で瞬殺・・というよりは、よく考えられた戦い方で相手を見事に倒すという無双ぶりが楽しめます。
オススメポイント
もともと強いのに、転生したら周りが弱くなっていてさらに強くなるパターン
色々なキャラに見下されるが圧倒的な力で相手を黙らせる
凝られている魔法バトルの描写
地味な剣聖はそれでも最強です

作品特徴
ジャンル:スローライフ
無双タイプ:ほぼ物理のみ
無双きっかけ:転生直後に無双化
地味だけど強い。地味なのに強い。
男子高校生の白黒山水(しろくろさんすい)は、神の手違いでトラックに轢かれて死亡してしますが、そのお詫びとして異世界に転生します。
転生したのちはスイボクという仙人のもとに預けられますが、サンスイの「強くなってモテモテになりたい」という希望を叶えるために、ひたすら山の中で修行をつけられます。
その期間なんと五百年。
完全に人間の域を超え、仙人としての生を手に入れたサンスイは、圧倒的な剣術の能力を手にいれ、モテたいなどの煩悩もなくなります。
そんなサンスイは、ある日一人の捨て子を発見し、その子を育てるために山を下りる・・というストーリーです。
仙人として圧倒的な力を手にいれたサンスイは、貴族の娘のボディーガードとして働き口を見つけます。
貴族の間での力試しや、貴族間のトラブルを解決するためにサンスイが戦うという展開で、異世界でも強いとされる剣士たちを剣術と独自の仙術で圧倒する展開が楽しめます。
無双が楽しめる作品は、主に冒険もの作品で、相手がモンスターや魔族になることが多いですが、本作は冒険ではなく、貴族の日常生活の物語なので、戦う相手も人間です。
また、異世界転生の無双は魔法を使うパターンが多いですが、この点でも本作は珍しく、基本的に物理だけで相手を圧倒します。
そのため、戦い方は基本的に地味です。
さらに、本作の面白いところは、サンスイの他にも転生者が登場するのですが、それを雑魚扱いしてしまうところです。
転生者として別の貴族の娘と婚約し、その娘以外にも有力者の娘と婚約をかわすようなハーレム状態、しかも全属性の魔法を使えるようなチート能力であるキャラが登場するのですが、サンスイは彼を秒で倒してしまいます。
このように、圧倒的な力を持ちつつも、冒険ではなく貴族の日常生活を送り、転生者などの対人間で物理で無双するという、あまり見られないパターンが楽しめるのが本作の魅力と言っていいでしょう。
オススメポイント
シンプルに物理で最強
無双展開には珍しいスローライフ的な作品
同じような転生者も雑魚扱い
超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!

作品特徴
ジャンル:勢力拡大
無双タイプ:バトル・政治・商売などありとあらゆる面
無双きっかけ:転生前からチート状態
現実世界でもチートな高校生たちが、異世界でさらに無双!
異世界転生漫画では珍しく、複数のキャラクターが転生して、しかも全員が主人公格の活躍 をするという作品です。
また、それだけではなく主人公たちは商売や剣道、発明そして政治など、現実世界ですでに高校生離れしたチート能力持ちのキャラクターです。
そのため、「冴えない学生や社会人が、転生によってチート能力を授かる」という無双ではなく、「既にチートな学生が、異世界でも無双する」という、珍しい展開が楽しめる作品です。
そのチートぶりは完全にブッ飛んでおり、発明のチート能力を持つ美少女が、異世界でミサイルを発明し、現実世界で1大財閥を支配する高校生は、いともたやすく資金調達をします。
そして、そんなチートな学生たちをまとめるのは、高校生ながら総理大臣を務める青年です。
「名探偵コナン」的な、非現実的な設定をベースにしており、チートばかりの異世界漫画の中でも、少し異質な作品だと思います。
そんなぶっ飛んだ設定ながら、ストーリー展開はしっかりしており、主人公たちの間の恋愛模様や、仲たがいなども描かれます。
このように、それぞれの分野でぶっ飛んだチート能力を持つキャラクターが7人もおり、それぞれの見せ場を描きながら、異世界を無双していく爽快な展開が楽しめる作品です。
オススメポイント
現実世界ですでに無双している高校生たちが転生する珍しい設定
7人ものキャラが転生
異世界の常識を破壊するぶっ飛んだ無双ぶり
一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた ~落第剣士の学院無双~

作品特徴
ジャンル:バトル
無双タイプ:物理(剣技)
無双きっかけ:なん億年にわたる修行の成果
一億年も修行すればそりゃ無双するわ!
「一億年ボタン」という、小学生が考えそうなネーミングの設定が面白い作品です。
剣術の学院に通うも、才能がなく周りから見下されていた主人公は、ある時謎の老人に、1億年の間ひたすら修行に打ち込めるというボタンを渡されます。
強くなりたい主人公は、それを押し1億円ものもの間修行するどころか、それを連打し、気の遠くなるような年月の修行に励みます。
その結果、作中最強クラスの剣の力を身につけ、次々と無双していくという展開が楽しめます。
本作は、主人公がチート能力を身につけるまでの設定というのが面白い作品で、素朴で真面目な青年が、最強になったあとも謙虚な好青年というところに好感が持てます。
それに対して、学園で出会うキャラは主人公をバカにしたり、なめてかかるキャラクターが多く、そんな当て馬キャラを、主人公がバッタバッタと圧倒していく爽快さが面白いです。
なお、異世界漫画の王道であるハーレムの方もしっかり堪能できそうで、主人公の剣の腕に見惚れたり、打ち負かされた美少女が彼を慕うようになる展開も楽しめます。
親近感の湧きやすい素朴な好青年が、無双もハーレムも実現するため、読み手が感情移入しやすいのもよいとことろだと思います。
このような魅力もありつつ、剣というジャンルでの無双とハーレムが楽しめる、比較的王道な異世界漫画です。
オススメポイント
一億年ボタンという奇抜な設定
純朴な好青年が剣で無双
ハーレムも楽しめる王道的な異世界漫画
強いはずなのに無双しない作品もある
以上のように、強力な戦闘力で敵を圧倒するという「無双展開」が楽しめる異世界漫画を紹介してきました。
無双展開は非常に人気ですが、いくら無双展開が気持ちよいと言っても、戦闘の描き方が単調だと、読み手としてはすぐに飽きてしまいます。
ここで紹介した作品は、個性豊かな主人公が、それぞれの形で無双を見せてくれます。