異世界漫画に限らず、ギャグというジャンルはマンガでは一般的なものでしょう。
バトルや冒険のジャンルが多い異世界漫画ですが、もちろんギャグ漫画もたくさんあります。
異世界転生をテーマにしたギャグマンガでは、異世界に転生した先で面白い展開を繰り広げるパターンもありますが、現世に異世界の要素を持ち込んで面白い展開を作るというパターンもあるなど、バリエーションに富んでいます。
そこで今回は、毎日365日異世界漫画を読んでいる私が、異世界漫画のうち、ギャグが面白いおすすめの作品をまとめました。
Contents
異世界おじさん
作品特徴
舞台:現世
シチュエーション:親戚のおじさんが異世界から帰ってきた
ギャグ以外の要素:ほぼ無し
植物状態から戻った親戚のおじさんが、「異世界から帰ってきた」と言ったらあなたはどうする?
現代に生きる青年のタカフミは、17年間の植物状態から目覚めたという親戚のおじさんを迎えに病院へ行きます。
そこでは目覚めたおじさんが「自分は異世界に行っていた」という信じがたいカミングアウトを始めます。
「完全にやばい人だ」と感じて対応に困るタカフミですが、花瓶を浮かせたり、指から火を吹かせるおじさんの様子に、本当に異世界に行っていたことを信じます。
本作は、そんなおじさんと、彼と一緒に生活をするタカフミが織りなすギャグマンガです。
異世界転生マンガでギャグマンガを作る場合は、転生した先の異世界でドタバタ劇を繰り広げることが多いのですが、本作は逆転の発想で、異世界から現世に戻ってきたという設定にしています。
あなたの周りに、友人でも親戚でも「ちょっと異世界に行ってたわ」と突然言い出す人がいたら「やばい人だ」と思うでしょう。
現世でも魔法を使えるおじさんの能力を使って、Youtubeにアップすれば広告収入を稼げると思うかもしれません。
本作は、このように、「もし知り合いが異世界から帰ってきたら」というシチューションの「あるある」ネタみたいなことをギャグにしており、斬新で面白いです。
また、このような「『異世界から戻ってきたら』あるある」だけが本作の魅力ではありません。
おじさんは、異世界での出来事をタカフミに話すのですが、その内容もかなりパンチが効いています。
- 美形ではないおじさんは、異世界人からオークと間違われ攻撃される。
- 自分を慕うツンデレ美女の言葉を自分の悪口だと思い、その美女から逃げる。
などなど、おじさんの語る異世界での経験談に、毎回必ず強力なツッコミどころが発生します。
このような「異世界戻りあるある」や、パンチの効いた体験談などの、他の漫画ではなかなか味わえない要素が楽しめるのが本作の魅力です。
オススメポイント
ありそうでなかった「異世界戻りあるある」
異世界でオークに間違えられる哀しいおじさん
恋愛フラグをへし折る哀しいおじさん
ポンコツが転生したら存外最強
作品特徴
舞台:異世界
シチュエーション:ノーマルな異世界転生
ギャグ以外の要素:有り(冒険・お色気)
可愛いけどポンコツなヒロインが放つ凶悪な攻撃
歯ブラシとヘアブラシを間違えるようなポンコツな女の子と、おしとやかで包容力のある女の子、2人の幼馴染を持つ少年は、ある日3人同時に異世界に転生することになります。
異世界でモンスターに襲われる3人ですが、それぞれに与えられていた不思議な力でモンスターを撃退することに成功します。
そんな3人が、色々な事件に巻き込まれながら世界を救う旅に出る・・という展開の作品です。
本作は、設定自体はノーマルな異世界転生モノです。
幼馴染と3人で転生、主人公の男の子が周りの女子からモテモテ、転生したら現世にはなかった力が備わっていた・・というテンプレ通りの設定です。
しかし、ポンコツ少女の早菜恵(さなえ)の存在が本作をギャグ漫画にさせています。
彼女はもともとポンコツで、しかも異常な腕力があったのですが、転生によってそれに拍車がかかります。
転生してきた3人はモンスターに襲われますが、早菜恵のくしゃみがショットガンのような威力になり、モンスター表皮や内臓を吹き飛ばします。
また、彼女が転んだ衝撃で地割れが起き、ゴブリンをその地割れに挟んで、ひねりつぶします。
(出典:「ポンコツが転生したら存外最強」)
※ゴブリンを地割れにはさんだ様子。
絵のタッチがほんわかしており、キャラクターの性格もほのぼのしているのですが、早菜恵の攻撃だけいきなり残虐な表現になり、そのギャップが笑いを生んでいます。
また、フレーズの面白さも本作の魅力で、独特のツッコミフレーズが楽しめます。
それ以外にも、大人にしかわからないパロディがあったり、ギャグのレベルとしては中高生よりも大人向けじゃないかと思います。
このように、ギャップとフレーズで高いレベルのギャグが楽しめるのが本作の魅力です。
それ以外にも、冒険要素や、お色気要素もあったりなど、ギャグ以外の要素もたくさんあるので、そういう点でもオススメできるマンガです。
オススメポイント
ほんわかしたタッチからリアルな表現のギャップ
フレーズ・パロディのセンスが高い
ギャグ要素以外にもお色気シーンあり
この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる
作品特徴
舞台:異世界
シチュエーション:ノーマルな異世界転生
ギャグ以外の要素:有り(冒険・バトル)
イケメンハイスペックなのに慎重すぎて残念な男の物語
異世界から勇者を召喚し、世界を救うことを義務付けられている女神・リスタルテは、色々な候補の中から、ハイスペックな逸材を見つけます。
そして、高身長でイケメンな青年・竜宮院聖哉(りゅうぐういんせいや)の召喚に成功します。
しかし彼には「ありえないくらい慎重」という特徴が。
異世界に旅立つことを提案するリスタルテの誘いを断った聖哉は、ひたすら筋トレに励む・・というストーリーです。
設定は、ノーマルな異世界転生モノがベースになっていますが、主人公・聖哉の「ありえないくらい慎重」という性格が、本作をギャグメインの漫画にしています。
- 異世界に旅立つ前に丸々一週間筋トレ
- 装備品は3つ買う。「装備用」「スペア用」「スペアのスペア」
- アンデット退治では、関わる人間すべてを疑って聖水をぶっかける
慎重すぎる性格と疑い深い性格で、周りのキャラから次々とツッコミをうけるような奇行を見せてくれます。
また、本作は珍しく女神キャラが転生者と一緒に旅をします。
しかし、リスタルテは聖哉の奇行に振り回されたり、激しくツッコミを入れるようなキャラになっていて、普通ではない女神キャラも楽しむことができます。
このような聖哉の変人ぶりが楽しめるのが本作のギャグマンガとしての魅力ですが、本作は魅力はそれだけではありません。
本作はギャグ漫画としてだけではなく、冒険・バトル漫画としても十分楽しめます。
もともと高いステータスである聖哉が、いきなり魔王クラスの敵を圧倒するなどの無双ぶりなど、異世界転生マンガの王道展開も見られます。
ギャグ漫画としてだけではなく、冒険・バトルものの異世界転生マンガとして読むだけでも十分に楽しめます。
オススメポイント
ありえないくらい慎重な主人公の奇行の数々
神らしからぬキャラクターの女神
バトル・冒険モノとしてだけでも十分に楽しめる
邪剣さんはすぐブレる
作品特徴
舞台:異世界(剣と魔法とスマホの世界)
シチュエーション:転生なし
ギャグ以外の要素:無し
手足を生やす不気味な剣と、破天荒な妹が織りなすドタバタ劇。
剣と魔法とスマホの世界、「ファンタジア」で暮らす兄弟のルカスとモニカは、ある日怪しい剣を見つけます。
その剣を面白がり、楽しく振り回すモニカですが、その剣に危険を感じる兄のルカスは・・という展開です。
本作は、剣と魔法の世界に近代文明(スマホや動画配信サイトなど) をブレンドにした世界観のギャグ漫画です。
剣であるはずの「ジャスティスブレーバー」は、自我があり、手足をはやして自立して歩行するという奇天烈キャラになっています。
妹のモニカとタッグを組んで、様々な大暴走をします。
このように、世界観に加え、登場キャラも破天荒なギャグが楽しめます。
兄のルカスは主人公でありながらツッコミ役であり、モニカやジャスブレをはじめ、色々なボケキャラクターの暴走ぶりにてツッコミを入れます。
実際、モニカ達以外にも面白キャラはたくさん登場します。
- 局部を盾で隠し、それ以外は全て裸のおっさんである盾の精霊
- 魔王の血を引く子孫ながら、引きこもり生活を送る青年
- ルカスを安月給で働かせ続ける獣人の女店主
そのバリエーションは実に様々です。
このように、本作は、完全にギャグメインの作品で、色々な奇天烈なキャラが起こす騒動に、ルカスが巻き込まれツッコミを入れていくという展開になります。
作者の飛田ニキイチは、前作「忍びがたき」も裏サンデーで掲載していた作者で、絵の綺麗さが非常に印象的な作者です。
本作もその絵の綺麗さは健在で、中世ヨーロッパを彷彿とさせる美しいキャラクターたちが、わけのわからない行動を起こす様子が楽しめるでしょう。
オススメポイント
個性的なキャラクターたち繰り広げるギャグ展開
軽いノリで天変地異を起こす凶悪な邪剣
ギャグ漫画としては無駄に美しい絵のタッチ
異世界なんて行くもんか!
作品特徴
舞台:現世(ごくまれに異世界)
シチュエーション:異世界召喚を拒否して現世にとどまる主人公
ギャグ以外の要素:無し
無双ハーレムできるのに異世界に行きたがらない少年の物語
男子中学生の引田コモル(ひきたこもる)は、ある日下校中に異世界に召喚されます。
しかし、同時に8人の女神が現れ、それぞれ自分の世界にコモルを転生させようと互いに争います。
しかし、現世の家が大好きで、絶対に異世界に召喚したくないコモルは、「どこの世界にも行きたくない」と拒否するという物語です。
色々なパターンの異世界転生マンガがありますが、本作はどんな作品でも前提となる「異世界に召喚される」という部分にメスを入れ、斬新な設定を作り出した面白い作品です。
本作は、異世界転生ジャンルの作品のよくある展開をパロディにしており、異世界転生マンガに詳しければ詳しいほど、本作をギャグ漫画として楽しむことができます。
- 異世界転生には神や女神による案内が多い→コモルのもとに八人の女神が登場する
- 普通、主人公は異世界転生を喜ぶ→異世界転生を拒否する
- 転生するときにトラックに轢かれるというパターンが多い→女神の一人がコモルを無理やり転生させようとして、トラックを召喚してぶつけようとする
このように、異世界転生マンガのあるあるとパロディとして描いていて、パロディ色が強いギャグマンガになっています。
また、本作のギャグマンガとしての特徴は、ツッコミのフレーズです。
現役の芸人のようなキレのあるフレーズでツッコミを入れており、ツッコミの勢いもあります。
ギャグマンガとしてかつて話題になった、「すごいよ!マサルさん」や、「ボボボーボボ・ボーボボ」のようなキレのあるツッコミが面白いです。
絵のタッチはそんなに上手な方ではなく、ギャグ漫画だからこそ許容して読めるようなタッチですが、ツッコミの描写も含め、ギャグマンガとしてのレベルは十分高いと思います。
そのため、異世界転生マンガに詳しくない人でも、ギャグマンガとして本作を十分に楽しめるでしょう。
オススメポイント
異世界転生がテーマなのに、異世界に行きたくないというまさかの展開
たくさん盛り込まれている異世界転生マンガのパロディ
ツッコミのキレが鋭い
戦闘員、派遣します!
作品特徴
舞台:異世界
シチュエーション:主人公が悪の組織の一員として異世界に転生(異世界転生の亜流)
ギャグ以外の要素:バトル・お色気
一癖も二癖もあるキャラクターばかりの異世界
悪の秘密結社・キサラギの一員である戦闘員6号は、地球外惑星の征服を企む組織幹部の手によって、異世界に転移させられます。
転移した先の王国では、傭兵的な扱いで迎え入れられ、組織に情報を流しながら、王国を守るために活躍するという展開の作品です。
ここまで紹介してきた作品よりもギャグ色は強くなく、異世界転生してのバトルやハーレム展開が楽しめます。
しかし、主人公は学生や社会人ではなく、悪の組織の戦闘員という設定です。
そして、神に呼ばれて召喚ではなく、組織が作った機械で転送したりなど、ノーマルな異世界転生マンガとは一味違った作品になっています。
また、戦闘員6号が出会う異世界のキャラたちが、一癖ある者ばかりです。
- 金への欲望とと出世欲が強い美少女の剣士
- おじいちゃんからの遺言を守り、中二病のような口調のキメラの少女
- 婚期を逃したショックから、邪心をあがめる宗教の大司祭になった女
戦闘員6号とともに戦う仲間にはまともなキャラはおらず、彼女たちとのユーモラスなやり取りをしながら活躍していきます。
こういう癖のあるキャラや、彼女立ちとのやり取りがギャグマンガとして楽しくさせています。
このように、性格に癖のあるキャラクターばかりですが、美少女だったり、スタイルの良い美女や、あどけない少女など、色々な女性キャラがいて、ハーレム状態のパーティです。
そして、仲間にセクハラチックな言動をしては怒られたり、でもいざというときには活躍して、彼女たち慕われたりという展開が楽しめます。
ギャグが多いので楽しく読み進められますが、ギャグだけではなく、ハーレム展開やお色気展開、バトルで活躍・・など、色々な要素が楽しめます。
オススメポイント
個性豊かすぎるキャラクター達
ギャグ漫画ながらハーレム的な環境
軽いお色気展開もあり
冒険についてこないでお母さん
作品特徴
舞台:異世界
シチュエーション:人間の息子と邪竜の母親
ギャグ以外の要素:お色気
美しくて強すぎるお母さんにによる無双ギャグ
剣と魔法のファンタジー世界で冒険者を目指す主人公のリュージは、15歳の誕生日に母の元を離れ、冒険者として独り立ちすることを決意します。
しかしその母・カルマアビスは美しく若い母ながら、中身は神の力を持つ伝説の邪龍で・・という展開です。
本作は、過保護で、過剰な愛を息子に注ぐ美人の母親と、そこから自立したい息子の冒険物語です。
作品のジャンルは、母親のぶっ飛んだ強さと愛情がコミカルなギャグ漫画です。
母親のカルマアビスは、息子バカなだけではなく桁外れの強い力を持ち、息子を愛するがあまりその力を暴走させるギャグ展開が面白いです。
それは完全に世界の理を無視するほどの強さで、
- 息子に旅立たれるショックで衛星を破壊する
- 息子を傷つけたモンスターへの怒りで森を焼き尽くす
などなど、愛情と強さが桁はずれなカルマの暴走ぶりがぶっ飛んでいます。
過剰な息子バカな美人の母親キャラクターによるギャグ漫画は、異世界漫画に関わらず多くあります。
しかし、本作はそこに 「バランス崩壊レベルの凶悪な力による暴走」要素を掛け合わせ 、見事なギャグ漫画になっています。
また、本作は絵のタッチがきれいなのも魅力です。
(出典:「冒険に、ついてこないでお母さん!」)
中身が凶悪な邪竜の母親のカルマアビスがとても美しく描かれており、「美しすぎる母親」っぷりも見事です。
他の女性キャラクターも綺麗で可愛く描かれており、ギャグ漫画としての面白さだけではなく、女性キャラの美しさや可愛さも本作の魅力です。
オススメポイント
ぶっとんだ愛情の強さと力の強さ
美しく描かれる母親
他にも登場する美しくてかわいいキャラ達
解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ
作品特徴
舞台:異世界
シチュエーション:魔王軍から追放されたのち無双
ギャグ以外の要素:スローライフ・バトル・お色気
王道異世界マンガ展開に差し込まれる高度なギャグ
魔王軍の参謀としてとして先代四天王を支えてきた主人公のダリエルは、魔力がないという理由から、新しい四天王達から追い出されてしまいます。
その後、放浪していたダリエルは、魔物に襲われていてピンチだった村の少女を助けて・・という展開です。
本作は、魔王軍を追い出された主人公が、田舎でヒロインを助け、その村で生活する・・という、完全なテンプレ通りの異世界漫画ですが、ギャグ展開に特化した作品でもあります。
シチュエーションを見ると、ギャグ漫画ではなく、「追い出された主人公が無双する」という展開の異世界漫画のように思えます。
実際、そのテンプレ通りの展開になるのですが、その間あいだに挟まれるギャグのセンスが非常に高く、ギャグ漫画としての魅力が非常に強い作品です。
ストーリーそのものは、魔族として「使えない」と認定された主人公が、人間の世界でチート能力に目覚めて大活躍しつつ、彼を追放した魔王幹部からも、主人公の働きを見直す動きが出てくるようになります。
それだけでもしっかり楽しめる要素なのですが、そこにセンスの高いギャグ展開が絡んでおり、笑わせてくれるところが本作の魅力でしょう。
ストーリーがしっかりしているギャグマンガは、あくまでストーリーの展開の方に力がはいっており、ギャグにはそれほど力が入っていないこともあります。
そんななか、本作はストーリーをメインにしながらも、ところどころ挟まれるギャグのセンスが非常に高いところが特徴的です。
オススメポイント
追い出されたのち無双するという異世界漫画王道の展開
随所にみられる高いギャグ展開
しっかりしたストーリー展開も楽しめる
ギャグ漫画は非ラノベコミカライズが多い
以上のように、異世界転生をテーマにしたギャグマンガでオススメのものをご紹介しました。
異世界転生をテーマにしたマンガは、「なろう系小説」に代表されるような、ラノベとして人気を博した作品がコミカライズされるパターンが圧倒的に多いです。
しかし、ギャグマンガというジャンルにおいては、その傾向が弱いように思います。
オススメしたいと思える作品の多くはラノベのコミカライズではなく、漫画家が異世界転生をモチーフにしたギャグマンガを描いた・・というパターンが多い感じがします。
やはり異世界漫画の醍醐味は、チート能力とハーレム展開なので、どうしても冒険やスローライフ展開の方が作りやすいのかもしれません。