異世界漫画に限らず、裏切り展開というのは、ストーリーを盛り上げる大きな要素です。
異世界漫画でも、主人公が裏切りに遭う展開の作品は、少なくありません。
仲間たちに裏切られるものの、立ち直り活躍する様子や、裏切った相手に復讐する展開は、読み手を爽快な気持ちにしてくれます。
そこでこの記事では、毎日365日異世界漫画を読んでいる私が、裏切り展開から始まる異世界漫画のうち、イチオシの作品を紹介します。
Contents
盾の勇者の成り上がり

作品特徴
裏切る人物:異世界の王女とその仲間
復讐展開:あり
無双・ハーレム:そこそこ無双、ハーレムは少な目
屈辱的な裏切りの恨みをきっちり返す復讐劇。
大学生のナオフミは、突然ファンタジー世界に転生し、「盾の勇者」として国を守る使命を受けます。
しかし、仲間になった王女から裏切られ、性犯罪の冤罪を着せられて孤立してしまうという展開から始まります。
本作は、スタートからかなり理不尽な展開で、ごく普通の青年であったナオフミが、裏切りとそのショックによって人間不信になってしまいます。
その後も多くの人間から犯罪舎扱いされ、苦しい境遇が続きます。
しかし、だんだんと力をつけて、仲間を増やし、自分を裏切った王女への復讐を成し遂げることに成功します。
よくある少年漫画のように、「改心した悪役を許して終わり」ではなく、かなり屈辱的な制裁を果たしており、その爽快さが本作の大きな魅力でしょう。
復讐を果たしたあとは、世界に隠された謎を解きながら、敵と戦う正統派なファンタジー漫画の要素が強くなります。
しかし、裏切りによって人間不信気味になったナオフミは、簡単には人を信じないダークヒーローになっており、ちょっとダーク気味なキャラも楽しめます。
また、ナオフミを裏切った王女以外にも、彼と同時に召喚された勇者達が残念で愚かなキャラクターで、なかなかイラッとさせられます。
王女の言いなりになってピエロ状態になる槍の勇者や、単独行動のあまり問題を起こす剣の勇者、差別意識が激しく不器用な仲間を追放する弓の勇者など、三者三様の残念ぶりを見せてくれます。
王女に復讐を果たした後も、彼らにはイラつかされますが、要所要所で残念でみじめな姿を晒してしまう彼らにスカっとする展開が多く見られます。
全体的に、憎い敵を見返す爽快な展開が好きな人にオススメの作品になっています。
オススメポイント
どん底から成りあがる見事なストーリー展開
裏切った相手にはきっちり制裁を果たす
3人の勇者の残念さが主人公を引き立てる
人間不信の冒険者たちが世界を救うようです

作品特徴
裏切る人物:主人公たち全員がそれぞれ色んな人から裏切られる
復讐展開:なし
無双・ハーレム:ともに少な目
裏切られたもの同士が出会い、互いに信じる人間ドラマ
冒険者パーティのなかで、パーティーの裏方仕事を担当をしていた主人公のニックは、方向性の違いからパーティーを追い出されてしまいます。
さらに、付き合っていたはずの彼女からは金づるとして見られていたことが発覚し、あっさり捨てられてしまいます。
そんななか、同じようにそれぞれの事情でどん底の状態になった冒険者達と出会う・・という展開から始まる物語です。
本作はタイトルが特徴的で、それぞれ騙されたり裏切られ、人間不信になった冒険者たちがパーティを組み、だんだんと活躍していく展開が楽しめます。
ダンジョン探索中に仲間に見捨てられた女剣士や、冤罪で破門にされた神官、婚約破棄された魔術師など、その悲しい背景のバリエーションが豊かです。
そんな彼らがパーティを組みますが、やはり簡単には互いに信用することができず、ギクシャクすることも多々あります。
しかし、そこを主人公のニックがうまくまとめ、人間不信なメンバーたちをうまく導いていく人間ドラマがメインの作品になっています。
特に、お金の管理の方法について、全員が納得できるシステムを思いついたり、ダンジョン攻略の戦略を立てつつ、ピンチには自分が危険を冒して仲間を守るなど、リーダーとして信頼されるニックの行動が実に見事です。
そんなニックの導きによって、だんだんと絆を深めていく主人公たちや、そこに至るストーリーが、他の作品では味わえない、深みのあるものになっています。
また、本作はギャグ要素も強い作品になっています。
裏切られた主人公たちは、そのストレスからアイドルへの重課金や爆食い、ギャンブルから風俗通いなど、四者四様の堕落ぶりを見せてくれます。
悲しいだけのストーリー・・というわけではなく、ところどころにギャグ的な展開も見られるため、楽しく読める作品になっています。
オススメポイント
冒険者4人がそれぞれの形で裏切られどん底の状態に
そんな4人が結束して力をつけていく展開が期待できる
信頼関係を作っていく人間ドラマの描写が見事
漆黒使いの最強勇者 仲間に裏切られたので最強の魔物と組みます

作品特徴
裏切る人物:ともに冒険していた仲間
復讐展開:なし
無双・ハーレム:ともに多め
裏切られても恨まない、異世界漫画には珍しいピュアな勇者の物語
剣と魔法のファンタジー世界で、13人いる勇者の中でも、特に強力な力を持つ闇の勇者・シオンは、3人の女勇者たちとともに旅をし、全員から告白されるというハーレム状態に幸せを感じます。
しかし、彼女たちは他の勇者の差し金によるスパイであり、策略にハマり力を弱められ、大きなショックを受けた彼は、自ら命を断つために森に迷い込む・・という展開から始まります。
強い力を持つ主人公が裏切られるという展開は、異世界漫画でも少ないわけではありませんが、本作はその中でもとりわけ気の毒な裏切られ方をしているのが特徴です。
確かに、3人の美少女全員から言い寄られるのは都合のいい状況かもしれませんが、優しく純粋な心を持つ主人公は、裏切りのショックで絶望してしまいます。
ここで「復讐だ!」とならずに、自ら死を選ぼうとするところに彼の優しさというか弱さが現れています。
そんなピュアすぎる主人公が、同じように苦しんでいる白狐・ハクを出会うことでだんだん気持ちが心境が変わり、再び人々を救う旅に出ることになります。
裏切られても人を恨まず、勇者として人々を救う旅に出るという、ピュアすぎる主人公の性格が最近の異世界漫画ではかなり珍しいです。
扱う能力は闇魔法というダークなイメージですが、使い手のシオンはかなりピュアであり、昔から見られる正義のヒーローぶりが逆に新鮮です。
それに対して、シオン以外の勇者は、それぞれ固有の能力を持ちながらも、自己中心的で卑劣な人間たちで、彼らから人々を救うバトル展開が楽しめます。
旅の途中で、シオンを裏切った勇者達と出会うのか、出会ったときにはどのような対応をするのかというところも気になるところで、今後のストーリーも楽しみです。
なお、序盤に力の多くを失う主人公ですが、それでも他の勇者に引けを取らない強さで戦います。
そうなってくると、「もともとどんだけ強かったんだ」という印象で、異世界漫画らしく、なかなかの無双ぶりが楽しめます。
オススメポイント
勇者たちのなかでも歴代最強の力を持つ無双主人公
ハーレムから突然の裏切り展開
裏切りにからも立ち直るピュアで強い心の主人公
最強陰陽師の異世界転生記~下僕の妖怪どもに比べてモンスターが弱すぎるんだが~

作品特徴
裏切る人物:前世の人間たち
復讐展開:なし
無双・ハーレム:ともに多め
見た目は可愛らしいけれど、腹黒くて狡猾な少年の物語
現実世界の日本において最強の陰陽師として名を馳せていた主人公・ハルヨシですが、裏切りによって命を落とし、ファンタジー世界に転生します。
転生した世界は剣や魔法で戦う異世界ですが、陰陽師としての能力を引き継いだまま転生した主人公が、その独自の無双する展開が楽しめる作品です。
本作は、ファンタジー世界に陰陽師の要素を組み合わせた作品で、式神などの独特の能力で、ファンタジー世界のモンスターと戦う展開が堪能できます。
陰陽師要素を取り入れている点だけでも読みごたえがありますが、本作は単純な異能バトル漫画というわけではありません。
裏切りによって命を落としてしまった主人公が、次の人生では同じことにならないよう、人を信じず、狡猾に立ち回る動きをする様子も大きな魅力です。
いっけん爽やかで誠実そうなキャラクターに見える主人公ですが、実は腹黒く、卑怯な相手には屈せずに相手を陥れる強さが爽快です。
学院に通う許可を得るために、自分の力を親に認めさせるよう策略を実行したり、自分を陥れようとする兄弟には能力を使って心を折るなど、意外と狡猾な立ち振る舞いが見られます。
正統派なヒーローという印象がありつつも、ところどころダークヒーロー的な要素が楽しめます。
裏切りに屈しない、腹黒くしたたかな主人公が楽しみたい人におすすめできる作品となっています。
また、単行本の表紙からもわかるように、幼少期から描かれており、学院に入学したあとも幼い(現代で言うと小学生高学年)くらいのキャラクターになっています。
出典:「最強陰陽師の異世界転生記~下僕の妖怪どもに比べてモンスターが弱すぎるんだが~」
腹黒さが垣間見えるストーリーとは別に、可愛らしい絵のタッチになっているので、絵の雰囲気が好きな人にもおすすめできます。
オススメポイント
陰陽師のよる式神能力でファンタジー世界を無双
腹黒く逞しい主人公が異世界の悪役を叩き潰す
可愛らしいタッチで描かれる少年少女たち
二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む

作品特徴
裏切る人物:異世界の王女・パーティの仲間たち
復讐展開:大いにあり
無双・ハーレム:無双は多め・ハーレムは少な目
憎しみが憎しみを生む、胸焼けするほどのドロドロした復讐物語
異世界に召喚され魔王を倒し、世界を救った主人公のカイトですが、王女やその仲間から裏切られて殺されてしまいます。
遠のく意識の中で、彼は王女たちへの復讐を誓いますが、気が付くと転生直後の状態で戻っており・・という展開です。
ストーリーとしては典型的な復讐物語ですが、さっそく第1話から主人公の復讐が始まるところが爽快で読みごたえがあります。
転生直後の状態に戻ることができたカイトは、即座に王女や騎士を一方的に攻撃し、ある程度の復讐を果たし、他の人間への復讐の旅に出ます。
しかし、王女の方もカイトに卑劣な罠を仕掛け、それがまた主人公たちの憎しみの心を増幅させ・・という、憎しみが憎しみを呼ぶ、ドロドロしたシリアスな物語が堪能できます。
復讐をテーマにした少年漫画の多くは、「復讐は連鎖するので、その思いにとらわれるのは無意味である」という論調になりがちですが、本作はそんな生ぬるい展開にはなりません。
話が進んでも復讐の気持ちは薄れず、敵の残酷な行為もエスカレートするため、互いの悪意がどんどん盛り上がっていきます。
このような感じで最初からずっと人間の負の部分を描き続けるので、最初からブレないダークなファンタジーを楽しめます。
絵のタッチは優しさがあるので、グロテスクな見た目というわけではありませんが、胸焼けするくらいのドロドロとした、憎しみが溢れるストーリーが特徴的な作品になっています。
ちなみに、マンガの進みが遅いため、ストーリーが気になる人は原作小説を読むという方法があります。
アマゾンなどでは小説版各巻のストーリー紹介がありますが、どの巻の紹介文を呼んでもシリアスな復讐展開になっています。
オススメポイント
魔王を倒した勇者なのに、残酷に裏切られるシリアスな展開
復讐心が強く、ブレずに復讐を果たしていく主人公
一話目からさっそく復讐展開が楽しめる
最強勇者はお払い箱→魔王になったらずっと俺の無双ターン

作品特徴
裏切る人物:仕えてきた国王や女王・将軍たち
復讐展開:あまりない
無双・ハーレム:ともに多め
救ったはずの人間から裏切られ、傷つけたはずの魔族と生きていく
勇者として魔王を倒し、人類を救った主人公のガリウスですが、その手柄を王子に譲るように要求されてしまいます。
さらに、王女や将軍の権力争いに巻き込まれ、命を狙われることになった彼は、人間の国を離れるところから物語が始まります。
本作は、勇者として人類に貢献したにもかかわらず、その人間たちから裏切られてしまうという不遇なストーリーになっています。
人間の醜い部分を強く描いているのが特徴で、国王をはじめ、その王妃や将軍などのキャラクターが、自分の欲望のために他者を利用するという愚かなキャラクターとして描かれています。
その一方で、かつてガリウスが敵対していたはずの魔族たちが、気さくで善良なキャラクターとして描かれており、人間から裏切られたガリウスは、魔物たちと共に生活し、人間たちから彼らを守るために戦うようになります。
裏切られて傷ついてたガリウスですが、気さくで仲間思いな魔物たちと生活するうちに、心を許し、また魔物たちからも慕われるようになるヒューマンドラマが楽しめる作品でもあります。
また、かつて勇者として魔物を倒してきたガリウスが、親しくなった魔物の息子を、かつて自分が殺してしまったことを知る場面もあります。
そのことを知ったガリウスは何を想うのか また息子を殺された魔物はガリウスに何を思うのか・・など深い人間ドラマも楽しめる一面もあります。
異世界漫画と言えば、無双とハーレムがメインでストーリーは単純明快であることが多いですが、本作のように深いテーマを扱っている作品は珍しいです。
ちなみに主人公のガリウスは、結構なぽっちゃり系のキャラで、人間の基準からすると決してイケメンではありません。
しかし魔物たちにとっては、そういう印象はなく、強い彼は魔物の女性キャラ達からモテモテになります。
裏切りから始まる重めなストーリーではありますが、そのようなハーレム展開もあり、ほっこりする一面もあるのも魅力です。
オススメポイント
人間の醜い部分を巧みに描くシリアスな描写
魔族たちとの交流を描く心温まる展開
イケメンではないのにちょっとしたハーレムが楽しめる
最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える

作品特徴
裏切る人物:パーティーメンバー
復讐展開:あり
無双・ハーレム:無双は多め、ハーレムは少なめ
裏切られたら即制裁!悪に負けない強かな主人公が爽快!
主人公のノエルは、育ての親であった祖父のように、ダンジョンを攻略する探索者になることを夢に持ちますが、彼に与えられた職業は、話術士という支援職でした。
それでも、ダンジョン探索のためにパーティを組んで活用していた彼ですが、パーティーの仲間であった二人が、金を持ち逃げしてしまうという裏切りから始まる作品です。
裏切りを大きく取り上げるタイプの作品は、「盾の勇者の成り上がり」のように、裏切られた後、しばらくどん底になるというパターンや、「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」のように、長い復讐の戦いが始まる展開が多いです。
しかし本作は、最初に裏切られるものの、すぐに裏切ったメンバーへの制裁を行う爽快な展開が楽しめます。
話術士であるノエルは、支援能力が高いだけではなく、頭が切れ、自らの望みのためには狡猾なことも平気で行うダークヒーローであり、自分を陥れた相手や敵対する相手は容赦なく叩き潰す強さをもっています。
悪意をもってノエルにぶつかるキャラも多くいますが、そんな相手をしっかり返り討ちにする爽快さがところどころで楽しめる作品になっています。
そんな彼が、パーティを組むことで最強を目指し、人の裏切りや悪意を戦いながら成り上がって力をつけていく様子が堪能できます。
また、話術士という独特の職業が活躍するバトルも見もので、単なる支援役に終わらず、味方に適切なタイミングで指示を出すことで、強力な力を発揮する戦い方も見られます。
バトルシーンの見せ方も迫力があり、バトル漫画が好きな人も楽しめる作品になっていると思います。
出典:「最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える」
主人公の裏切られ方やその後の選択はさまざま
以上のように、主人公が裏切られる展開の作品のうち、イチオシのものを紹介してきました。
裏切られた相手に見事に復讐する主人公もいれば、その傷を癒して前向きに生きていく主人公もいます。
ちなみに、復讐展開に特化した異世界漫画もまとめているので、興味がある人はコチラの記事も参考にしてください。
