異世界漫画にかかわらず、映画やドラマなどでも、復讐展開というのは読みごたえのある展開です。
理不尽や辛い仕打ちにあった主人公が、復讐を果たす展開は、読んでいて爽快な気持ちにさせてくれます。
異世界漫画では、恵まれた立場で異世界を生きるケースが多いですが、なかには不遇な扱いを受けるものの、しっかりと復讐を果たし、爽快な気持ちにさせてくれる作品もあります。
今回は、毎日365日異世界漫画を読んでいる私が、復讐展開が楽しめる作品の中でも、是非読んで欲しい作品を紹介します。
Contents
盾の勇者の成り上がり
作品特徴
復讐対象:王女・国王
ダーク度:☆☆
性描写:なし
復讐の速さ:☆☆(復讐完遂まで数十話)
人間不信にさせられた主人公が、王女にきっちり復讐を果たす。
主人公の大学生・ナオフミは、ファンタジー世界に召喚され、盾の勇者としての使命を受けます。
彼はあこがれていた異世界召喚に心躍りますが、他の作品のように無双やハーレムは始まらず、王女によって騙され、性犯罪の冤罪を着せられてしまいます。
国中から性犯罪者扱いされ、どこにでもいる普通の大学生だったナオフミですが、精神的なショックから、人を信じる心を失ったり、味覚などの一部の五感に異常をきたしてしまいます。
このように、無双からは程遠い、最悪な状況から始まりますが、そこからだんだんと力をつけ、きっちり復讐を果たす展開が楽しめる作品です。
どん底の状態から成り上がり、8巻くらいまでに渡って描かれる復讐劇のクライマックスはなかなか鮮やかです。
敵キャラが無様に弱りきり、他の漫画だと「手打ちにしてやろう」となりそうなまでに叩きのめしますが、ナオフミはそこで許さず、最後まできっちり報いを受けさせます。
復讐の完遂までに時間こそかかりますが、その分のカタルシスは実に爽快で、アニメが2期3期と制作され、スピンオフ作品や舞台化もされている人気作品です。
ちなみに、本作は復讐展開が特徴的ですが、色々な武器を扱う他の勇者や、獣っ娘の仲間など、ファンタジー要素も十分詰め込まれています。
「単純に魔族と戦う」という設定ではなく、「波」という独特の設定を用いており、復讐以外の世界観やストーリー展開も読みごたえがあります。
このように、復讐による爽快感を味わえつつも、残酷な表現はなく、癒される場面や信頼できるキャラクターも登場するので、万人にオススメできるバランスの良い作品です。
オススメポイント
普通の大学生がいきなり冤罪を着せられ人間不信になってしまう
時間がかかるがその分爽快な復讐劇
ファンタジー要素もしっかり楽しめる
回復術士のやり直し
作品特徴
復讐対象:王女・かつての仲間
ダーク度:☆☆☆☆
性描写:あり
復讐の速さ:☆☆☆☆(開始数話)
暴力・性的描写なんでもありの大人向け復讐劇
回復の力の才能がある勇者・ケアルは、国にその力を見出されるも、ともに旅をする王女に薬漬けにされ、奴隷のように扱われ続けます。
王女に同行する仲間にも、(性的なものも含む)暴力を受け、壮絶な半生を過ごすことになります。
しかし数々の特殊な能力を持つケアルは、時間を遡らせることに成功し、国に召集される前から人生をやり直すことに成功します。
まずは、(性格は醜悪ですが)見た目は美しく、女性としての魅力が高い王女を凌辱して洗脳し、姿を隠して旅にでて、自分を苦しめた相手への復讐などを目的とします。
旅先で追っ手や復讐相手と戦い、暴力はもちろん、性的なものも含めた凄惨な方法で、敵に復讐していく、ダークながらも爽快な旅を堪能できます。
本作の特徴は、やっぱりダーク度の高さでしょう。
ケアルの復讐内容もなかなか残酷なのですが、敵対する人間たちもゲスな人間が多く、敵に対する同情は湧きません。
なお、かなりシリアスな展開や表現が多いため、見る人を選びます。
エロ・グロが好きではない人にはおすすめできません。
また、本作では復讐ばかりではなく、パーティに加える美少女たちとのやり取りも楽しむことができます。
もともと性的な描写もある作品なので、仲間たちとのお色気シーンもあります。
残酷なシーンや展開だけでなく、アダルトな展開も多いため、色々な点で大人向けの作品だと言えるでしょう。
オススメポイント
ダーク度の高い仕打ちとそれに負けない凄惨な復讐
性的描写もありの大人向け作品
復讐だけでなくハーレム展開も楽しめる
二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む
作品特徴
復讐対象:王女・かつての仲間
ダーク度:☆☆☆☆
性描写:なし
復讐の速さ:☆☆☆☆☆(一話目から)
悪意には悪意で返すダークな復讐展開
現実世界から召喚され、勇者として魔王を倒した主人公・カイトは、魔王討伐後に王女や仲間に裏切られて殺されてしまいます。
しかし、異世界転生ならではの特殊な設定によって、もう一度異世界召喚されるところからやり直せることになります。
自分が利用されることを知っているカイトは、徹底して復讐することを選択し、いきなり騎士や王女を蹂躙し、復讐の旅に出る展開が楽しめます。
本作では、第一話で主人公が殺される~王女を蹂躙する展開まで進むため、第1話目から胸のすくような復讐展開を見ることができます。
復讐がテーマの作品では、物語の序盤は主人公が苦しい思いをすることが多いです。
しかし、本作では最初からある程度の復讐を見ることができるので、すぐさま爽快な気持ちにさせてくれます。
また、復讐劇の多くは、旅に出た後に人の温かさに触れることで、だんだんと穏やかな気持ちになり、復讐から離れる展開になりがちです。
しかし、本作はそうはなりません。
旅の途中で、人間を憎む獣人の娘を仲間にしますが、互いの憎しみの気持ちを共有し、お互いの復讐を果たすよう誓いを立てます。
話が進んでも復讐の気持ちは薄れず、敵の残酷な行為もエスカレートするため、互いの悪意がどんどん盛り上がっていきます。
このような感じで最初からずっと人間の負の部分を描き続けるので、最初からブレないダークなファンタジーを楽しめます。
(出典:「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」)
※素直な高校生だった主人公が、ここまで変貌してしまうダークぶり。
負の感情のオンパレードなので、読む人を選ぶところがありますが、人間の悪意を描いたシリアスな物語を楽しみたい人には、オススメの作品となっています。
オススメポイント
敵味方互いのドロドロした悪意がぶつかり合う
シリアスで残酷な描写もあるダークな復讐物語
一話目から復讐が見られる展開の速さ
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで
作品特徴
復讐対象:女神・クラスメイト
ダーク度:☆☆
性描写:なし
復讐の速さ:☆(物語後半までない可能性)
どんな理不尽な状況にも屈しない姿が、勇気をくれる。
クラスごと異世界へ転生された主人公・トーカは、自分に与えられたのが「状態異常スキル」という最弱能力だったため、女神によってダンジョンに放り出されてしまいます。
自分をこのような目に遭わせた女神や、自分を助けずに見捨てたクラスメイト達に復讐することを誓った青年が、人知れず成り上がる物語です。
本作でまず特徴的なのが、女神やクラスメイト達の冷酷さです。
一方的に召喚させたあげく、たまたまハズレスキルを引いた主人公を「廃棄」としてダンジョンに飛ばしたり、そんな女神を止めるどころか加担する学生たちに、イライラさせられます。
しかし、そんなキャラクター達に屈せず、主人公は怒りや憎しみの感情を爆発させ、女神に精一杯の抵抗をしたり啖呵を切ります。
どんな理不尽な扱いにも心を折れず、立ち向かうその姿は私たちに勇気をくれます。
(出典:「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」)
本作は、女神への復讐が大テーマになっており、旅の目的にもなっているので、復讐を果たすまでには時間がかかるタイプです。
開始数話の間は、主人公が能力に目覚め、仲間を作っていく過程が描かれているので、序盤でいきなり復讐を果たす展開にはなりません。
しかし、辛い仕打ちにも屈せずに憎しみや怒りの感情を爆発させ、「必ずやり返す」という強い気持ちを表現するところに共感でき、エネルギーを与えてくれる作品だと思います。
なお、主人公が旅を始めたあとも、別行動をしているクラスメイト達が描かれますが、マウントを取る者や、他者を利用しようとする者など、醜いキャラクターとして描かれています。
本作で描かれる敵キャラ達は、「横暴な国王」などのファンタジー世界なキャラではなく、「人間的に幼い」など現実世界にもいるリアルなタイプが多いため、引き込まれやすいのが魅力だと思います。
また、本作では「状態異常スキル」という珍しい能力も魅力です。
直接攻撃はおろか、回復や防御の能力もありませんが、麻痺や毒などの状態異常を使いこなすだけで敵を倒す主人公は他にはいないでしょう。
復讐を遂げるために強くなっていくことが予想されますが、どのようにして無双していくのかが楽しみな作品でもあります。
オススメポイント
女神とクラスメイトたちから理不尽な仕打ちを受ける不憫さ
理不尽に屈せずに怒りの気持ちを爆発させる主人公の強さ
敵キャラたちの精神的な醜さがリアル
はめつのおうこく
作品特徴
復讐対象:王国
ダーク度:☆☆☆☆
性描写:なし
復讐の速さ:☆☆☆☆(開始数話)
自分たちの大義のために相手の生を奪いあう、深みあるストーリー
魔女・クロエと彼女に拾われた少年・アドニスは、世界を旅しながら二人でひっそり暮らしていましたが、魔女を殲滅したい国の兵につかまり、クロエが処刑されてしまいます。
最愛の人を殺されたアドニスは封印されてしまいますが、別の魔女によってその封印が解かれ、魔法の力で国に復讐行為をする・・という展開から始まります。
本作は、愛する人を殺された怒りから復讐に走る青年が主人公の作品で、悲しい殺され方をした魔女クロエの敵討ちをアドニスが行う、1話~6話くらいまでの展開は、かなり読みごたえがあります。
序盤からそれなりの復讐展開を楽しめる本作ですが、ストーリーはだんだんと複雑になっていき、主人公、国家、魔女たちにそれぞれ自分たちなりの大義があることがわかってきます。
三者とも他者へ残虐な行為をしているのですが、それぞれに目的があり、各キャラクターを簡単な善悪では判別できない、深い作品になっていきます。
また、お色気要素はありませんが、戦闘シーンはなかなか残酷に描かれており、血しぶきや生首が飛び交うシリアスな描写になっています。
ただし、絵のタッチがキレイなので、描かれている内容のわりには嫌悪感はなく見られます。
黒の魔王
作品特徴
復讐対象:転生先の謎の組織
ダーク度:☆☆☆
性描写:なし
復讐の速さ:☆☆☆(復讐まで数話)
心優しい主人公による殺戮ダークファンタジー
普通の学生だった主人公は、いきなり異世界に召喚され、謎の組織に監禁されたあげく、実験台にされ様々な苦痛を受けます。
実験のなかで、特殊な能力に目覚めてだんだんと強くなっていきますが、生きるために人間を殺してしまい、精神的にもすさんでいきます。
そんなどん底の状態ですが、組織を抜け出すことに成功し、自由な生活を手にするという展開から始まる作品です。
異世界漫画では、弱いために見放されたり、危険な場所に飛ばされるなどの扱いをされることは多いのですが、拷問や実験台になるまでの仕打ちを受けることはほとんどありません。
組織から抜け出した後は、スローライフ的な展開や、冒険者として仲間とクエストに参加するという展開もあります。
主人公のクロノは本来は穏やかでな性格であり、仲間に対しては優しく接し、優しい青年の印象が強く現れます。
しかし、自分を苦しめた組織への憎しみは風化せず、強く残り続けます。
たびたびクロノ達の前に、組織の手が伸びますが、クロノは徹底して残酷に相手を蹂躙します。
このように、本作は自分から復讐しに行くストーリーではなく、復讐以外の要素もあり、ほのぼのした気持ちになる部分もあります。
しかし、組織との戦いのパートでは、他の作品に負けないダークさが一気に生まれ、残酷なシーンはリアルに絵が描かれ、グロテスクな場面もあります。
ほのぼのしたところと、残虐な部分の差が激しく、他の作品にはないほどの振れ幅の大きさが大きな魅力になっていると思います。
また、ヒロインの妖精・リリーは、基本的には姿も知能も少女ですが、まれに本来の姿と意識(成人女性)を取り戻すことがあります。
この時のリリーがかなりのヤンデレ具合で、クロノを脅かす相手は凶悪な力で排除にかかります。
また、彼に媚を売るような相手にも容赦はなく、クロノに変な虫が付かないようなプレッシャーも恐ろしいです。
一般的な異世界転生モノのヒロインよりも、頭のネジが外れており、能力的にも凶悪で、こういう点もダークファンタジーの雰囲気を強調しています。
オススメポイント
謎の組織の実験台にされるという悲壮な異世界転生
ほのぼのした場面と残酷な場面の激しいギャップ
作品のダークさを強調するヤンデレヒロイン
復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する
作品特徴
復讐対象:王女など
ダーク度:☆☆☆☆☆
性描写:微妙にあり
復讐の速さ:☆☆☆☆(開始数話)
万人にはオススメできない、狂人たちの復讐劇
勇者としての力を持ち、魔王を討伐したラウルは、王女からの求婚を断ったという理由だけで、縁のある村人を皆殺しにされ、最愛の姉も殺され、しまいには冤罪を着せられて自身も処刑されてしまいます。
しかし、女神を利用することで再び蘇ることに成功したラウルは、自分を陥れた数々の人間に復讐するという展開です。
本作は、ここまで紹介してきた作品のなかで間違いなく最もエグい作品で、万人にはおすすめできません。
絵のタッチこそキレイでリアルさは薄いですが、串刺しなど、凄惨なシーンがしっかり描かれています。
また、本作は登場人物のサイコパス度合いも強烈で、自分以外の命をゴミのように考える王女や、無邪気な顔で逃げるモンスターを虐殺する子供など、強烈なキャラクターばかりです。
女神でさえも、主人公を溺愛するあまり最強のチート能力を与えてしまうなど、まともな神経のキャラがほとんどいません。
そんな狂った世界の中で、主人公自身も狂ってしまい、にこやかな笑顔で王女を暴行するなどの恐ろしい復讐を果たしていきます。
(出典:「復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する」)
また、本作のすごいところは、復讐を果たす凄惨なシーンと、かつて主人公が幸せだった場面を交互に織り交ぜ、読み手の感情をグラグラ揺さぶってくるところです。
幸せだった場面から、敵によってそれが無残に奪われたシーンへと変わり、そして凄惨な復讐展開へと続くため、「悲しみ→怒り→爽快さ」の流れが短いスパンで何回も描かれる構図になっています。
今回紹介する作品の中では一番感情の振れ幅が大きいため、ストレスがたまっていてシリアスな場面への耐性が強い人にはおすすめの作品です。
ただし、敵も主人公もあまりに狂っているため、人によっては感情移入できずに気分が悪くなる可能性があります。
本作以外でダーク度が強めな、「回復術士のやり直し」や、「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」でも物足りない・・という人にちょうどいい作品だと思います。
ガベージブレイブ 異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語
作品特徴
復讐対象:召喚した王国・神
ダーク度:☆
性描写:なし
復讐の速さ:☆(物語後半までない可能性)
復讐以外も楽しめる、ライトなダークファンタジー
料理が大好きなごく普通の高校生・ツクルは、異世界に召喚され、「調理師」と言うレア度の低い職業が与えられたツクルは、ひとり森へ追放されてしまいます。
モンスターに襲われ命の危機に晒されますが、調理師のもつスキルが実は戦闘にも応用できるチートスキルばかりで、力を得た彼は、自分を捨てた相手などへの復讐を誓うストーリーが楽しめます。
復讐がテーマのストーリーで始まりますが、ここまで紹介してきた作品と比べると、復讐展開の多さはそれほどでもなく、残酷表現はありません。
ただし、卑劣な仕打ちを受けた主人公の復讐心は消えず、普通の心優しい高校生だったはずの主人公が、敵対する相手の命をためらいなく奪う場面もあります。
ダークな部分は多少ありながらも、スキルを駆使したバトルや、奴隷として売られている美少女を仲間にするなど、異世界漫画の王道展開も多く見られます。
復讐要素と異世界漫画要素を、両方とも程よく堪能できる作品で、復讐もので味わえる爽快さと、王道の異世界漫画で楽しめるワクワク感の両方が味わえるでしょう。
ここまで紹介してきた作品は、復讐に特化したものが多いので、シリアスな展開や人間の負の感情の爆発が多いものばかりです。
そういう作品を読みすぎて胸やけしてしまった人には、バランスのとれたちょうどいい作品だと思います。
オススメポイント
残酷表現が少ない、正統派なダークヒーローなストーリー
スキルバトルなどの、異世界漫画の王道も楽しめる
ライトな復讐ストーリーを読みたい人にちょうど良い作品
復讐展開は私たちのストレスを発散してくれる
現代は人間関係のストレスが多く、自分の立場や生活を守るために我慢しなければいけないことも多いでしょう。
そんな中、主人公が敵に復讐してくるさまを見ることで、ストレスが晴れるものです。
ここで紹介した作品は、どれも主人公が受けた仕打ちを同等か、それ以上の方法で晴らしてくれたり、理不尽に屈せずに強い怒りの気持ちで前に進みます。
性質上、どうしても残酷な表現が多くなりがちで、大人向けの作品が多いですが、シリアスな復讐モノが好きな人にとってはハマる作品ばかりだと思います。