異世界(転生)漫画は、2010年代前半から少しずつブームになり始めた感があり、マンガのジャンルとしては比較的新しいと言えるでしょう。
そのため、長編の作品がまだ少なく、2021年現在で10巻を超えていれば、長編作品と言っていいと思います。
このジャンルに最近ハマった人は、「ぜひ長編作品が読みたい」と思うでしょう。
そこで今回は、10巻以上の長編の異世界漫画のうち、おすすめの作品を紹介します。
かなり名が知られている有名長編から、それほど有名ではないものの、十分読み応えのあるものまで、色々な作品をまとめました。
異世界漫画をまだあまり読んだことがない人は上から順に、それなりに読んでいる人は、有名作を飛ばして、この作品あたりから見てみてください。。
Contents
賢者の孫
作品特徴
掲載冊子(サイト):ヤングエースUP
連載開始:2016年~
発行巻数(2021年時点):15巻
「無自覚無双」というスタイルを広めた有名作
ネットなどで、「またオレ何かやっちゃいました?」というフレーズを見た記憶はないでしょうか?
これは、一時期流行した言い回しで、無自覚に常識外れなことをやってしまったときに、本人が言うセリフです。
本作「賢者の孫」は、その元ネタとなった作品で、自分の異常さが分からない主人公が、無自覚に無双して、周りを驚かせ呆れさせる展開が面白い作品です。
「またオレ何かやっちゃいました?」 というセリフは、主人公のシンが無自覚に無双する状況から生まれた言葉で、ピクシブ百科事典にて、紹介ページすらあるほどの有名度です。
このようなシンの無双ぶりを、「無自覚無双」なんて呼ぶこともあり、本作は、無自覚無双という概念の生みの親ではないかと思います。
その無双パターンはじつにさまざまで、
- 超難度の瞬間移動魔法を当たりまえのように発動させる
- 試しに作ってみた武具が国宝級レベルの性能
- 人間ではとうてい太刀打ちできない魔族を圧倒する
などの活躍ぶりが見られ、周りはそれにビビらされます。
普通の表情で異常なことをする主人公と、それに驚く(だんだんと呆れられ、最後には驚きもしなくなる)様子がコメディタッチで書かれており、ギャグ漫画のように楽しむこともできます。
そんな展開が面白い作品で、10巻以上続く人気作になっており、最近生まれている異世界漫画の中には、本作の無自覚無双に影響を受けている作品が多いと思います。
そのため、異世界漫画の無双ってどんな感じ?というのを見てみたい人にちょうどよい作品だといえるでしょう。
ちなみに、最近の異世界漫画は単純な無双展開だけで終わるのではなく、主人公の設定やストーリー展開が様々に練られているものも多いです。
「賢者の孫」はそうした作品に比べると、ストーリーがサクサク進むライトな印象があります。
そのため、ストーリーや設定に深みのある作品が好きな人は、「理想のヒモ生活」や「100万の命の上に俺は立っている」などがオススメです。
オススメポイント
無自覚無双という無双スタイルが広まった作品
「またオレ何かやっちゃいました?」の生みの親
異世界漫画でどんなもの?無双ってなに?の疑問に答えらえる作品
転生したらスライムだった件
作品特徴
掲載冊子(サイト):月刊少年シリウス
連載開始:2015年~
発行巻数(2021年時点):17巻
異世界漫画嫌いにもオススメしたい超人気作
本作は、異世界技漫画の中でも超有名な作品で、アニメ化やたくさんのスピンオフ作品が生まれている人気作です。
現実世界からファンタジー世界に転生した主人公は、人間ではなくスライムに転生してしまいます。
スライムといえば最弱というイメージがありますが、転生時に得たチート能力で強力なモンスターを倒し、自分が強くなるだけではなく、自分を主とした一大勢力を築いていく展開が楽しめます。
今でこそ人外に転生するのは異世界転生のひとつのパターンですが、本作が誕生したころはその設定は一般的ではなく、本作のヒットとともに、同じような設定が多くなった感があります。
また、本作が人気になる秘訣は、一つひとつのエピソードがしっかりと作りこまれているところです。
主人公のスライムだけではなく、ドラゴン、ゴブリンや鬼人、ドライアドやドワーフ、そして人間など実に色々な種族が登場し、それぞれが個性的な性格で、多彩な物語を見せてくれます。
そのため、主人公の無双劇ではありながらも、色々な種族のキャラクターの群像劇にもなっており、深みのあるストーリーが楽しめます。
また、主人公は、よくある少年漫画の主人公とは違い、明るく元気な性格でも、コンプレックスを抱えたひねくれた性格でもなく、思慮深い普通の社会人です。
そのため、彼に感情移入しやすい人が多く、そんな主人公が色々な種族に慕われる様子は、まるで自分が異世界で活躍しているような気持ちにさせてくれると思います。
ある一つのジャンルが人気になる時には、その火付け役となる作品があるものです。
本作は、異世界漫画が人気ジャンルになるきっかけになったとも言っていい作品だと、個人的に思います。
キャラクターの設定やストーリー展開が練られているので、他の一般的な異世界漫画は好きにではない人にも、ぜひオススメしたい作品です。
オススメポイント
異世界漫画ブームの火付け役になったと個人的に思う作品
色々な種族のキャラによる深みのあるストーリーが楽しめる
異世界マンガを読んだことのない人にまずオススメしたい作品
無職転生~異世界行ったら本気だす~
作品特徴
掲載冊子(サイト):月刊少年フラッパー
連載開始:2014年~
発行巻数(2020年時点):12巻
異世界漫画なのに、主人公の内面の成長が描かれる作品
異世界転生漫画の主人公の設定の一つとして、ニートが挙げられます。
本作では、タイトルに「無職」「転生」とある通り、ニート生活を続けていた主人公が、自分の人生に後悔しながら死亡してしまい、異世界に転生します。
そして今度の人生では、堕落せずに努力する決意をし、奮闘する様子が楽しめる作品です。
他の多くの異世界転生漫画とは違い、本作では主人公の内面の成長の描写に力が入っています。
異世界漫画といえば、主人公が何の苦労もなく強力な力で無双したり、ハーレムを築くものですが、本作はそんな甘い展開にはなりません。
主人公のルーデウスは、ある程度の魔法の才能はあるものの、作中最強というわけではなく 幼い頃から鍛錬を積み重ねてだんだんと強くなっていきます。
そして、父親の過ちによる家庭内の問題が起きたり、わがまま娘の家庭教師をすることになるなど、人間力が問われる場面にたくさん遭遇します。
普通の異世界漫画で主人公の迎えるピンチといえば、強敵との戦いくらいですが、本作はそこにピントを合わせず、現実世界の人生でも起こりそうな人間関係の問題も取り上げられます。
そんな事件を鮮やかに乗りきっていくこともあれば、なかなかうまくいかずに落ち込むこともあります。
他の異世界漫画のように、ファンタジー世界で魔法を使ったり旅をするなどの生活を味わうものですが、本作の本質は他の異世界漫画とは全く違い、主人公の人生に降りかかる試練と、その克服に力が入っています。
元々は嫌なことから逃げニート生活を送っていた主人公が、今度の人生では逃げずに立ち向かうという姿に、勇気をもらうこともできるでしょう。
特に、環境や境遇が近い人には、何か頑張る一歩を踏み出すエネルギーをもらえるかもしれません。
「主人公の試練と成長を描く作品」と言うと、重い空気の作品に感じるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。
外面は紳士に振る舞うルーデウスですが、その中身はスケベな中学生キャラで、セクシーな女性や、可愛らしい美少女に鼻の下を伸ばしてデレデレする様子も見られます。
そんな彼の様子がコミカルに描かれるほか、主人公以外にもお笑い要員的なキャラもたくさんいるので、笑える部分も多い明るい作品です。
オススメポイント
「主人公がニート」設定の作品のなかでも有名作
チートではなく努力によって成長する展開
異世界漫画に珍しく、主人公の内面の苦悩と成長を描く
盾の勇者の成り上がり
作品特徴
掲載冊子(サイト):月刊少年フラッパー
連載開始:2014年~
発行巻数(2021年時点):17巻
どん底からの鮮やかな復讐劇が人気の秘訣
大学生の尚文は、突然異世界に召喚され、3人の青年とともにそれぞれ勇者としての使命を与えられます。
しかし、尚文だけは王女から裏切られ、性犯罪の冤罪を着せられてしまいます。
周りからは蔑まれ、人間不信にもなるところから始まりますが、だんだんと力をつけて、成り上がっていく展開が味わえる作品です。
本作は、十巻以上続く人気作ですが、ストーリー展開に大きな魅力があります。
序盤で裏切られ、どん底の状態になった主人公は、その後も理不尽に疑われたり迫害を受けますが、少しづつしっかりと力をつけ、次第に協力者を増やし、自分を陥れた相手への復習を果たします。
8巻くらいで王女たちに復讐を果たす場面は本作の一つの山場で、なかなか鮮やかな復讐がきまり、かなりの爽快感が味わえます。
弱った相手を大きな心で許すなんてことはなく、きっちり屈辱的な制裁を課すという、現代っぽい復讐ぶりが面白いです。
その後も、同時に召喚された勇者たちがそれぞれの方向性で残念キャラになっており、彼らの言動が、読み手の感情をなかなかイラつかせてくれます。
それでいて愚かな行為に走ってナオフミの足を引っ張り、みっともない姿を晒してくれるので、そこそこの爽快さを提供してくれます。
このように、イライラからの爽快さが味わえる、読み手の感情を揺さぶってくれるというところが本作が人気になる秘訣だと思います。
このように、ストーリーが特徴的な本作ですが、雰囲気は本格的なファンタジー作品で、魔法や武器によるバトルが楽しめます。
そして、タイトルの通り盾しか使うことできない主人公が、色々な種類の盾やスキルを使って仲間と連携する戦い方も面白く、バトル漫画としても十分楽しめる作品です。
オススメポイント
盾しか装備できないという珍しい設定の主人公
鮮やかな復讐劇で爽快な気分にさせてくれる
イライラからの爽快さという展開が味わえる
幼女戦記
作品特徴
掲載冊子(サイト):コンプエース
連載開始:2016年~
発行巻数(2021年時点):20巻
「ミリタリー」×「幼女」相反するはずの要素が見事にミックス
現実世界で会社のリストラを進める冷酷なサラリーマンは、恨みによって殺されてしまい、異世界に転生することになります。
しかし、頭が切れるがあまり、転生時に神様を論破してしまった彼は、逆恨みされてしまい、幼女の姿で戦争の絶えない世界に転生させられてしまいます。
最近では、おっさんが美少女に転生するなど、男性が女性に転生する作品が増えてきましたが、本作はそのはしりと言えるかもしれません。
冷徹無比なおっさんが、強力な力を持つ可憐な美少女に転生し、後方支援の様な楽な部隊での勤務を狙いますが、そうはならずに前線で戦い続けることになる・・という幸の薄い展開が面白いです。
そして、本作の最大の特徴と言えるのが、絵のタッチやコマ割りなどの表現のセンスです。
きれいな絵のタッチながら、ダイナミックに兵器を使ったバトルシーンや、神々しい神々のたずまいが描かれるほか、主人公も特徴的な美少女の姿で描かれています。
(出典:「幼女戦記」)
また、セリフ回しも独特で、キャラクターの見た目もかなり個性的になっているので、好きな人はとことんハマるような中毒性の高い作品だと思います。
実際、アニメ化や実写化もされており、熱狂的なファンがいることが予想されます。
また、「少女」と「ミリタリー」という、いっけん相反する要素の組み合わせの作品ですが、本作ではうまく融合されています。
見た目いたいけな少女が、兵器や魔法のような能力で、戦場の最前線でバリバリ無双する様子が爽快です。
両方とも男子がハマりやすい要素なので、この両方が好きな人ならそれだけで読む価値があるでしょう。
オススメポイント
兵器を使う戦争の中で、少女が魔法で無双する
絵柄が独特で美しく、少女が魅力的に描かれる
せりふ回しやコマ割りが独特で中毒性が強い
理想のヒモ生活
作品特徴
掲載冊子(サイト):ヤングエース
連載開始:2017年~
発行巻数(2021年時点):11巻
褐色セクシー王女に求婚される羨ましすぎる男の物語
社会人として平凡な生活を送っていた主人公の男、ゼンジロウは、ある日突然異世界に召喚されてしまいます。
そこでとある国の王女・アウラにいきなり求婚されますが、褐色肌のセクシーな王女に心を奪われたゼンジロウは、結婚を決意して異世界での王族生活が始まる・・というストーリーです。
まず本作の魅力は、王女アウラのセクシーさです。
堂々としている王女キャラで、褐色肌のスタイル抜群でセクシーさがにじみ出ているアウラは、好きな人にはたまらないキャラクターになっています。
(出典:「理想のヒモ生活」)
そんないきなりな展開から始まる本作ですが、気になるアウラとの「新婚生活」も、一巻の後半でしっかり描かれています。
二巻三巻と続くにつれ、段々とシーンは少なくなるのが悲しいところですが、最初の絡みは省かれることなくしっかり描かれます。
そのため、アウラに心奪われた人は、彼女の新婚初夜のシーンは間違いなく一見の価値ありです。
そんなところに注目してしまいがちな本作ですが、実は話の本筋はアウラとのラブラブ生活ではなく、「目立たない王宮生活」です。
主人公のゼンジロウは王女の婿になるので、立場としては国王的な立ち位置になるため、彼には色々な輩が近寄ってきます。
自分に取り入ろうとする貴族たちを体よくかわし、送り込まれる側室候補には惑わされずに爽やかにスルーします。
また、自分を煽ってくる相手を紳士にかわし、女だからと軽視されがちなアウラをしっかりたてる男ぶりにカッコよさを感じます。
このような、王として「成り上がらない」展開が本作の最大の特徴で、他の異世界漫画では味わえないストーリーになっています。
また、水面下での腹の探り合いをする交渉などがたくさん登場するため、社会人向けの内容になっています。
そのぶん、社会人で人間関係の調整などに日々苦心している人には、共感できる内容が非常に多くあります。
バトルはほとんどない地味な展開なのに、10巻以上になるまで作品を継続させているのは、独自のストーリー展開の巧みさがなせる業だと言えるでしょう。
オススメポイント
褐色セクシー王女とのラブラブ生活
王として成り上がらない独自のストーリー
社会人向けの巧みな展開が楽しめる
100万の命の上に俺は立っている
作品特徴
掲載冊子(サイト):週刊少年マガジン
連載開始:2016年~
発行巻数(2021年時点):11巻
主人公だけじゃなくて、作者も多分変な人の異世界漫画
本作は、超合理的でコミュニケーション能力が残念な、おおよそ少年漫画らしくない主人公のキャラが面白い作品です。
高校生の四谷は、突然ファンタジー世界に転移し、すでに転移していたクラスメイトの女子たちとクエストクリアを目指します。
しかし彼は、クエストをクリアすることを優先して捕まった仲間を見捨てたり、悪人ならばためらいなく人間でも命を奪おうとします。
なかなか冷徹な行動をとるのですが、ダークヒーローというわけではなく、天然でそのように行動しています。
そんな感じのキャラに、「こんな主人公見たことがない」と感じる人は多いと思います。
また、本作のもう一つの魅力が複雑なストーリー展開で、主人公たちに課せられるクエストは、
- 『荷物』を特定の地域に届ける※荷物が何なのか示されない
- 特定の地域の1年後の麻薬の使用率を下げる
など、なかなか複雑です。
「モンスターを倒す」「アイテムを手に入れる」というよくあるクエスト内容ではないため、達成するためにどうすればいいかをあれこれ考え、実践してときには間違えます。
また、四谷のように、ゲームが好きで器用で変に精神力が強く、各クエストで活躍するキャラもいれば、おしとやかでいい子だけど、クエストの攻略にほとんど役に立たないキャラもいます。
全員が優秀で、それぞれに活躍の場面があるというような少年漫画のセオリーは皆無で、そこには現実世界のような無慈悲な縮図があります。
よくある少年漫画らしい展開にはなってくれないので、ご都合主義が嫌いな人にこそおすすめしたい作品です。
ちなみに本作は、有名な無料画像を提供しているサイト、「いらすとや」ともコラボして、まるまる一巻分の絵を、すべて「いらすとや」の作品だけにするということもやっています。
オススメポイント
超合理的で血も涙もない主人公
他の少年漫画では見られない難解なクエスト
少年漫画のセオリーが全く通じない独自の展開
蜘蛛ですが、なにか?
作品特徴
掲載冊子(サイト):ヤングエースUP
連載開始:2015年~
発行巻数(2021年時点):10巻
女子高生が蜘蛛に転生して蛇やドラゴンと激しいバトル!?
女子高校生の主人公は、ある日突然異世界に転生してしまい、自分が蜘蛛になっていることに気づきます。
ダンジョンの中で助けてくれる相手もおらず、空腹に苦しみながら、いろんなもの(草や虫)を食べ、モンスターに襲われて逃げながらもなんとか生き延びていきます。
そんな彼女が辛い環境にも負けずたくましく生き延び、そしてモンスターとのバトルを繰り返し強くなっていく様子が楽しめる作品です。
女性が転生する作品と言えば、聖女か悪役令嬢・次点で薬師というのが相場です。
そんななか本作は、蜘蛛に転生するという奇抜な設定で、スライムやゴブリンなどの人外に転生する作品もありますが、そのなかでも蜘蛛というのはかなり珍しいです。
そして本作の魅力は、ただ設定が奇抜ということだけではなく、本格的なバトル漫画であるところです。
わけもわからずダンジョンに飛ばされますが、その世界ではレベル・スキル・進化といった要素がしっかり盛り込まれており、バトルによって色々なスキルが身につきます。
蜘蛛らしく糸を使って相手の動きを止めたり、糸を丸めてモーニングスターのようにする戦い方から始まり、だんだんとスキルを覚えて成長します。
このように、最初から戦闘に特化しており、ハーレムなどの他の要素はなく、ストイックにバトル展開がひたすら楽しめます。
しかも、主人公が人間キャラではなく蜘蛛なので、他の普通のバトル漫画とは違った戦い方が堪能できます。
また、ダンジョンでバトルが続く展開ですが、主人公が女子高生ということもあり、ポップな感じの雰囲気なのも面白いところです。
美少女やイケメンがあまり登場せず、暗いダンジョンでひたすら戦うという地味な展開ながら、そこに明るさがうまくブレンドされています。
女子高生が主人公という設定をうまく生かし、バトルをベースとしながらも、明るく楽しく読めるところも大きな魅力だと思います。
オススメポイント
女子高生が蜘蛛に転生するという奇抜な設定が面白い
スキルを駆使した本格的なバトル展開が楽しめる
女子高生のキャラを生かした明るく楽しい展開
ロクでなし魔術講師と禁忌教典
作品特徴
掲載冊子(サイト):少年エース
連載開始:2015年~
発行巻数(2021年時点):14巻
魔法学園を舞台にした正統派ファンタジー漫画
破天荒な教師と、反発する生徒たちが絆を深めていくタイプの作品は、「GTO」や「ごくせん」など、少年漫画にはたくさんありますが、本作はその異世界バージョンと言っていいでしょう。
かつて戦場で活躍した魔道士ながら、現在は戦いから身を引いていた主人公のグレンは、魔法学園の教師をさせられることになり、貴族の生徒たちと交流したり、悪の組織と戦うなどのストーリー展開が楽しめます。
教師としてやる気のなさが全開で、最初は生徒たちから反発されますが、色々な事件を乗り越えることで、だんだんと生徒たちからの信頼が厚くなる熱い展開が魅力です。
また、本作が面白いのは練られた魔法の設定で、同じ魔法でも、詠唱の言葉によって発現する魔法の形が多少変わるなど、なかなか凝った設定になっています。
ちなみに、メインキャラはそれぞれに自分特有の技があるなど、少年漫画らしくキャラクターそれぞれが作り込まれています。
多くの異世界漫画では、無双とハーレムの描写に力が入っているため、本作ほど各キャラクターの背景や固有能力などを設定しないことが多いです。
それでいて剣と魔法のファンタジー世界をしっかり描いているので、両方のいいとこどりができている作品とも言えそうです。
なお、エピソードごとにキャラクター間の人間ドラマが描かれており、各キャラクターのコンプレックスや、それを克服するなどの要素も描かれています。
伏せられていた主人公たちの過去もだんだんと明かされるようになり、読めば読むほど深みが出てきます。
このように、ストーリーや魔法、キャラクターなどいろんな要素がしっかりと作りこまれており、漫画作品としての基本がしっかりしているので、長く続くのも納得の作品です。
オススメポイント
魔法学園を舞台にした正統派なファンタジー漫画
背景や能力が作りこまれた様々なキャラが登場
だんだんと深まる人間関係や人間ドラマ
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
作品特徴
掲載冊子(サイト):水曜日のシリウス(ニコニコ静画内)
連載開始:2015年~
発行巻数(2021年時点):12巻
不自然な魔王キャラ主人公が異世界で無双&ハーレム
現実世界ではコミュ障で、ネットゲームでは協力プレイをせず魔王キャラとしてリア充プレイヤーの前に立ち塞がっていた主人公は、その姿のままゲームの世界に転生してしまいます。
自分のことを召喚し、利用しようとした獣っ娘とエルフの美少女を逆に奴隷化し、最強の魔王として世界を冒険するという展開が楽しめる作品です。
王道な異世界漫画の設定、無双とハーレムな展開が楽しめる作品ですが、その大きな特徴が主人公のコミュ障ぶりです。
現実世界で生きていた頃は、ほとんど人と会話をせず、ネットゲームの中で魔王としてのキャラクターを演じるばかりだった主人公は、異世界に来ても魔王キャラのような発言をしてしまいます。
彼の言動は、魔王城に乗り込んできた勇者に対してならばサマになりますが、街の宿や、冒険者との会話の中でも魔王みたいな発言しかできないため、周りから完全に浮きます。
異世界漫画にハマる人なら、主人公と同じようにネットゲーム好きで、彼のコミュ障キャラに共感が持てる人は多いかもしれません。
そんな人にとっには、主人公が他人とは思えないキャラになっているので、感情移入しやすい作品ではないでしょうか。
また、ストーリーは、異世界漫画の王道に沿った作品で、テンポよく進むのため、このジャンルとしてはスタンダートなものでしょう。
複雑さはなくライトに読んでいけるので、難しいことを考えずに異世界漫画を読み進めたいという人にオススメの作品になっています。
なお、本作は無双も楽しめる作品ですが、ハーレムも堪能できます。
最初から行動を共にするエルフと獣っ娘は、最初は主人公に反発しますが、次第に心を開いていき、ベタ惚れになっていきます。
(出典:「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」)
一線は超えないものの、お色気なシーンになることも多く、そういう意味でもオススメな作品です。
オススメポイント
コミュ障の主人公が魔王キャラで異世界を冒険
作中最強クラスの魔力で無双
エルフと獣っ娘のダブルヒロイン&ソフトお色気あり
異世界漫画のますますの長編化に期待
以上のように、長編異世界漫画のうち、特におすすめな作品を紹介してきました。
冒頭でも触れた通り、ジャンルとしてはまだ日が浅いため、2021年現在、20巻を超えるような作品はほとんどないと思います。
しかし、異世界漫画ブームはまだ当面は続くと思われ、ここで紹介したような人気作はもっと長く続き、他のジャンルの漫画と同じくらいの長編作品に成長していくと思います。