異世界漫画紹介

「神眼の勇者」っていうなろう系の丸太マンガはどこが面白いの?

「神眼の勇者」は、webサイト「がうがうモンスター」で連載されている異世界転生マンガです。

「ファースト」による同名のなろう系小説をコミカライズした作品で、バトル・無双展開が楽しめます。

本作は、ネット上では何かと話題になっており、本サイトでも、この作品についての記事の閲覧数が多くなっています。

そこで今回は、「神眼の勇者」の魅力やツッコミどころについてまとめてみました。

Contents

 「彼岸島」もビックリの丸太推し

「神眼の勇者」でまず取り上げられる特徴と言えば、「丸太」でしょう。

主人公はファンタジー世界に転生しますが、敵と戦うときに剣や槍ではなく、丸太を使います。

神眼の勇者紹介画像
(出典:「神眼の勇者」)

最初は、異世界に来たばかりのタイミングで敵に襲われ、たまたまそばにあった丸太(丸太が都合よくそばにあることも珍しいですが)で敵を撃退したことから、丸太を使い始めることになります。

 

この「丸太を武器として使う」という設定は、もともと別マンガ「彼岸島」で有名です。

身長以上の長さの丸太をぶんぶん振り回したり、必要な時にちょうどいいサイズと数の丸太がそばに見つかるという設定が不自然で、ネット上で取り上げられています。

「みんな丸太はもったな!!」元ネタの彼岸島シーンと丸太の活躍シーンを紹介 

 

本作は、「彼岸島」をパロディにしているとしか思えないどころか、丸太の設定をどんどん膨らませています。

普通の丸太だけでなく、「金の丸太」「聖なる丸太」などの武器がある

「丸太の精」なるものも登場する

丸太に乗って移動したり、丸太を束ねて盾みたいなのを作る

 

さらに話が進んだ4巻になると、主人公はこんな技を繰り出すようになります。

神眼の勇者丸太魚雷
(出典:「神眼の勇者」)

※かっこよく見えますが、魔力を込めた丸太を発射しているだけです。

ここまでくると、完全に本作独自の「丸太ワールド」を繰り広げられている感があります。

 

そして、本作コミック1巻の紹介文は以下の通りです。

ニートで毎日が夏休みな生活を送っていた丸太真は、女神・アステナに異世界に召喚されるも、不要と判断されて捨てられてしまう。

しかし、老婆を助けたことによって、“神々の目"を司る女神・リアナから『神眼』の力を授かることに。

それは、過去や未来を含めて様々なモノを "視る" ことができる力だった。

主人公の名前、丸太真って・・・。

 

 パクリ??いや「パロディ」のはず!

このように、丸太色全開の「神眼の勇者」ですが、他にもパロディ的な要素がたくさんあります。

有名なところで言うと、転生直後に捨てられた女神に、やっぱり自分の配下にならないかと誘われた時のこのシーン。

心眼の勇者だが断る
(出典:「神眼の勇者」)

神眼の勇者最高にハイってやつだぁ
(出典:「神眼の勇者」)

これらはマンガ好きならかなり有名な、「ジョジョの奇妙な冒険」の名セリフのパロディにしています。

「ジョジョの奇妙な冒険」は、印象的な名セリフやシーンが多く、本作以外にも色々な作品がパロディにしています。

 

他にもこんなシーンがあります。

神眼の勇者力が欲しいか
(出典:「神眼の勇者」)

主人公が強力な力に目覚めるための演出シーンですが、この演出の方法も、「ARMS」という作品の演出をもじってると思われます。

ちなみに、ググればすぐ見つかります。
「ARMS 力が欲しいか 画像」の検索結果

 

このように、有名漫画の印象的なフレーズや演出を色々とパク・・いやパロディとして取り入れているのでは?と感じる部分がとても多く、それはもはやギャグマンガのような印象すらあります。

ちなみに、「黒ひげの空賊団」という敵が4巻に登場しますが、これも某超有名海賊漫画をパロディにしている気がします。多分他にもたくさんあるような・・・。

普通にストーリーを追って楽しむだけでなく、色んな所にちりばめられたパロディをどれだけ見つけるか、という楽しみ方があるかもしれません。

ツッコミ役がいないギャグストーリー

このように、「神眼の勇者」では、パロディ要素がとても多く、ツッコミどころに溢れた作品だと思います。

そもそも丸太が武器になる展開に、ツッコみが入ることがほとんどありません。

パロディが多いこと以外にも、そもそものストーリーにもツッコミを入れたくなるような展開がたくさんあります。

パターン①深刻なバトルと思いきやギャグ展開

吸血鬼退治に参加した主人公のマコトは、吸血鬼によって操られてしまった勇者・アベルと戦うことになってしまいます。

吸血鬼は、「同じ人間を倒すことは心が痛むであろう」と、主人公がためらうことを目論みます。

 

実際、敵によって操られてしまった味方と戦えず、苦しむ・・というのは、バトル漫画の王道パターンです。

本来ならば、「味方を傷つけられずに苦しむ」展開や、「敵を倒すために心を鬼にして相手を倒す」という感動的な展開になるところですが、本作は違います。

もともとアベルは、主人公と同行する女性キャラたちを、自分のものにすることばかり考えるようないけ好かない人間だったので、マコトは何のためらいもなくアベルに襲い掛かります。

そのうえ、マコトの神眼の能力でアベルの吸血鬼化が解けるのですが、勢いあまってそのまま彼をぶっ飛ばします。

神眼の勇者ヒギィィィ
(出典:「神眼の勇者」)

流れ的にはとても正統派のバトル漫画とは思えず、どちらかというと正統派ギャグ漫画のような流れなのですが、この流れへのツッコミは一切入りません。

あくまで普通のバトル漫画のようなテンションで話がすすみます。

パターン②いきなりど下ネタ

本作は、異世界転生モノでは王道のハーレム展開が楽しめるのですが、半分くらいは主人公が鈍感(もしくはウブ)なために、女性キャラと一線を越えることはありません。

しかし、主人公のマコトは変な遠慮はせずに、ヒロインたちと遠慮なくヤっちゃいます。

このような「一線越え」は他の作品にもありますが、本作は普通の展開の時に、いきなり下ネタ的にお色気展開を挟んでくることがあります。

 

普通に武器の丸太を見ていたときに、ヒロインの色っぽい様子をみて、「口と手でしてくれないか」みたいな発言が飛び出し、ヒロインも喜んでそれに応じちゃいます。

安めの成人漫画によくありそうな展開ですが、そんなことには誰も何にもツッコミは入りません。

ちなみに、お色気展開になっても、直接的なシーンは省略されるので、本当にエロ漫画というわけではないです。

 

こんな感じで、ツッコミどころ満載な作品で、ギャグマンガならば納得できるのですが、そんな感じは一切なく、普通のバトル&冒険マンガの感じで話は進みます。

3巻くらいになってくると、たまにマコト本人がストーリー展開にツッコミを入れる場面が多少ありますが、それでも不自然な展開の多くにツッコミはほとんど入りません。

このような「ギャグみたいな展開なのにツッコミが入らない」という本作を見ていると、それが一つのギャグのように感じます。

 

ちなみに、お笑いのコントや漫才のパターンに、「明らかにおかしいのに一切ツッコみが入らない」というものがあります。

 

例えば、ピン芸人として有名なバカリズムさんのコントは、大体このパターンだと思います。

例えばコチラの動画

バカリズム - - - 「順位に関する案」

このコントでは、「語尾につけるとかわいい音楽記号」「ろうそくの火を消せそうな人間関係」などに順位付けしたものを、バカリズムが真顔で発表していきます。

 

ここでは、「いやろうそくの火が消せそうな人間関係ってなんだよ!」「ろうそくの火なんで人間関係を表す言葉で消さないよ!」というようなツッコミは全く入りません。

あたかもレストランの人気メニューランキングを発表するかの体で発表が進んでいきます。

 

このように、「明らかにおかしなことを言っているのに、それが当たり前であるかのように進んでいく」という笑いのパターンがあるのですが、「神眼の勇者」もこれに近いような面があるんじゃないかと思います。

 

普通の異世界転生マンガで、剣と魔法の世界観の作品のはずなのに、丸太が正式な武器になっていたり、ギャグ漫画でもないのにパロディが盛りだくさんだったり、エロ漫画でもないのにいきなりエロ展開になったり・・など、ツッコミどころ満載なのに、全くツッコミが入りません(笑)

この構成自体が高度なギャグになっているようで、私の中で「神眼の勇者」は完全なギャグマンガとして楽しんでいます。

「心眼」ではなく「神眼」の勇者です

このように、独自の魅力がある「神眼の勇者」ですが、ネットなどで検索すると「心眼」の勇者と間違って検索されることが多いようです。

確かに、「しんがん」と入力して変換すると、普通「心眼」と出てくるので、そのまま覚えたり検索してしまうのでしょう。

ネット検索する分には、多少間違っても問題ないかもしれませんが、本屋やレンタルコミック屋の検索機械で、間違ってしまうと見つからないこともあるので、本作に興味がある人は、ぜひ正しく覚えておきましょう。

 

主人公のマコトは、リアナという「女神」から、相手のステータスを覗き見たり、予知未来ができる「眼」をもらいます。

「神からもらった眼」ということで、「神眼」と覚えるとよいでしょう。

 「神眼の勇者」は正統派バトル漫画ではない

以上のように、「神眼の勇者」の魅力について、かなりの主観を交えてまとめてきました。

パク・・パロディばかり&ツッコミどころ満載の展開で、amazonのレビューなど一部のネットの評価ではボロクソに言われていることもあるようです。

たしかに、バトル・冒険ジャンルの色々な異世界転生マンガを比較してみると、どこかで見たような展開や、ドラマ性の全くないストーリー、とってつけたような無双・ハーレム展開など、作品としての深みは全くありません。

 

しかし、本作を「生徒派のバトル・冒険マンガ」として見るのは、本質をとらえていないと思います。

例えば、プロレスをボクシングやレスリングのようなスポーツとして見てしまうのは間違いです。

プロレスは、相手の攻撃をよけずにあえて受けることが普通ですが、スポーツとして相手に勝利したいなら、相手の攻撃など受ける必要なありません。

 

プロレスがそうしないのは、「スポーツ」ではなく「エンターテイメント」だからです。

試合前後のマイクパフォーマンスや、相手との因縁を強調するような演出、相手の攻撃をあえて受けて立ち、それに耐えて自分の攻撃を繰り出す・・・という一連の流れは、見る人を興奮させる「エンターテイメント」として非常に魅力的になっています。

 

そのため、「プロレスはスポーツとしてはガチじゃないから面白くない」と批判するのはお門違いで、プロレスは演劇やコンサートと同じように、エンターテイメントとしてみるべきだと私は思っています。

「神眼の勇者」にも同じことが言えると私は思っていて、本作は「正統派バトル・冒険マンガ」として見てしまうと、その魅力が十分に理解できません。

そうではなく、「正統派バトル・冒険マンガのふりをした壮大なギャグマンガ」として見ると、その魅力を存分に味わうことができるのだと思います。

イメージとしては、「テニスの王子様」に近いところがあるかもしれません。

 

最近の漫画は、深く描きすぎるがあまり、物語展開や能力の設定などがかなり複雑化して、内容を理解するのに大変なこともあるでしょう。

そんな時は本作のように、何も考えずに楽しめるマンガを読むのが、「神眼の勇者」の正しい楽しみ方だと思います。

無双度:★★★★(丸太で無双。ご都合主義でどんどん強くなる)

ハーレム度:★★★★(メイドたちや出会う仲間たちをご都合主義で虜にしていく)

ギャグ度:★★★★★★★(ツッコミが入らないシュールな笑い)

シリアス度:★(一切なし。一見シリアスでもすぐにギャグに)

色気度:★★★(安いエロ漫画のような展開があるも、直接描かれることはない)

バトル度:★★★★★(たくさんあります)

スローライフ度:★(ほとんどない)

 

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