異世界漫画は、なろう系小説のコミカライズに始まり、最近では商業誌やwebマンガオリジナルでもかなりの作品が出ています。
そんな様子をみると、「異世界漫画は多すぎる…」とうんざりする人もいるかもしれません。
しかも、異世界転生マンガは、「異世界で大活躍して異性にモテモテ」という強力な王道展開があり、それに沿ったストーリーの作品が多いです。
そのため、「異世界漫画は同じような作品ばっかりでつまらない」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、実際には色々な種類の異世界漫画があり、王道パターンではないものも多くあります。
そこで今回は、「異世界漫画が多すぎてうんざり」という人にこそオススメな、変わり種の作品をまとめました。
設定や展開が特殊な作品が多く、異世界漫画があまり好きでない人も楽しめると思います。
Contents
100万の命の上に俺は立っている
作品特徴
ジャンル:バトル
特殊な点:主人公のキャラ・失敗やピンチが多い
無双&ハーレム:無双なし、ハーレムは微妙にあり
変人主人公が、失敗しながらたまに活躍する異色ストーリー
ゲームや冒険が好きな主人公の四谷は ある日突然クラスメイトと一緒に世界に召喚されてしまいます。
そこでは指定されたクエストをクリアすることが帰還の条件とされ、張り切って取り組む四谷ですが、いきなりピンチが訪れ・・という展開です。
本作は、シチュエーションこそ一般的な異世界転生漫画ですが、主人公のキャラクターを中心に、かなり個性的な設定になっています。
主人公の四谷は、少年漫画には珍しい徹底した現実的主義・個人主義の考えです。
たとえば、クエストクリアを優先して、捕まった仲間を助けに行かなかったり、人間関係の空気が読めず、女の子にいいかっこしようとして逆に恐怖を与えたりします。
しかし、どんなピンチに陥った時にも、不屈の精神で諦めない精神的な強さもあり、とても面白いキャラクターになっています。
また、異世界漫画といえば無双展開が多いですが、本作の主人公たちは、たくさん失敗します。
また仲間の少女である箱崎は、騎士という強力な職業でありながら、腕力不足で剣を使えず、戦闘ではほとんど戦力になりません。
このように、典型的な異世界漫画の形でありながら、他では見られない個性的な設定や展開であり、普通の異世界転生漫画ではありません。
オススメポイント
少年漫画らしくない個人主義・合理主義の主人公
全員が等しく活躍するわけではない現実的な展開
とにかく失敗が多くて都合よくいかない展開
ブサメンガチファイター
作品特徴
ジャンル:人間ドラマ
特殊な点:主人公が本当にブサイク・最強なのにバトルが少ない
無双&ハーレム:無双ほぼ無し、ハーレムは無し
転生者たちの悔いや無念を晴らす人間ドラマが楽しめる
ブサイクに生まれた主人公・吉岡は、それが原因で引きこもりの生活を送っていました。
ある日転生するチャンスに恵まれますが、ルックスのパラメーターを極限まで下げ、女性に触れると大ダメージを受けるという制約を課します。
その結果、彼は最強の力を手にすることになり・・という展開です。
本作はスタンダードな異世界転生の設定ではありますが、ハーレム展開を完全に否定した設定が斬新です。
吉岡は、女性に触れると大ダメージを受けるだけでなく、性行為をしてしまうと、無限の苦しみを味わい体が四散して死ぬという、モテをまったく目的としていない設定にします。
その結果、絶対的な強さを手に入れ、異世界で無双できる力を手に入れますが、意外と吉岡が戦闘で活躍する展開は少ないです。
その代わりにメインとなっているのが、キャラクターたちの人間ドラマです。
本作では、転生するときに、「特記事項」という欄があり、転生者は、自分の思いをここに入力します。
本作では、転生するキャラクターが非常に多く、現世で心残りや絶望、後悔が多い人がたくさん登場します。
その負の思いを特記事項に入れた結果、現世のトラウマや決意などが反映された能力になり、それが異世界での生き方に繋がっています。
たとえば、現世で綺麗な女性に恨みを持って転生してきた女性キャラは、「自分より綺麗な女性を殺さないといけない」という制約がかかったりします。
このようなキャラクターたちと関わり、彼らの深い内面に触れるというストーリーになっています。
このように、異世界転生漫画なのに、ハーレム展開が全くなく、無双展開も少なめで、人間ドラマがメインになる作品は他には見られません。
普通の設定にはない異世界転生マンガなので、このジャンルが好きではない人でも十分楽しめると思います。
オススメポイント
ブサイクな主人公でハーレム展開全くなし
その代わり最強の戦闘力で無双する力を持つ
それなのに無双展開は少なく、人間ドラマが楽しめる
異世界もう帰りたい
作品特徴
ジャンル:日常・ギャグ・冒険
特殊な点:ファンタジー世界で冴えない日常が描かれる
無双&ハーレム:無双なし、ハーレムなし
冴えないサラリーマンが、異世界でも冴えない生活を送る。
さえないサラリーマンの男・下山口は、仕事中に異世界へ転生してしまいます。
しかし大した能力を持たず、ハズレのような扱いを受けた彼は、魔族討伐などは任されず、その街でその日暮らしを始める・・という展開です。
本作は、まず絵のタッチが特徴的です。
作者は「ドリヤス工場」という人で、「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む」で比較的有名です。
そんな絵のタッチで描かれるため、異世界漫画のはずなのに、ファンタジー感がゼロで、とにかく地味です。
(出典:「異世界もう帰りたい」)
ストーリー展開も、絵のタッチに近いような雰囲気で、戦闘展開はほぼなく、特に最初は日常生活の「情けないあるある」を描くコメディ的な内容です。
召喚後、どうすればいいかを大臣に尋ねたところ、たらい回しにされたあげく、「担当者は今日は休み」と言われたり、転生者仲間の輪に、女性が加入した結果、彼女を巡って男達がギクシャクしたり、現世でもありがちな話をうまく描いています。
このように、異世界転生の設定ではありますが、中身は冴えないサラリーマンが、地味に異世界を旅するイメージです。
このジャンルの王道展開に飽き気味になった人にこそ、オススメしたい作品です。
オススメポイント
異世界転生マンガなのに、無双やハーレム一切なし
情けない日常あるあるが多くみられる
個性的な絵のタッチでファンタジー感がゼロ
勇者、辞めます。
作品特徴
ジャンル:日常・バトル・ビジネス
特殊な点:現代ビジネスのスキルが学べてしまう
無双&ハーレム:無双あり、ハーレムほぼなし
勇者がビジネススキルを使って魔王軍を立て直す
魔王エキドナを倒し、世界を救った勇者レオは、人間たちの世界を離れ、魔王城に向かいます。
エキドナのもとに乗り込んだレオは、「魔王軍に入れてほしい」と真面目な顔で依頼してきて・・という展開です。
本作は、表面上は魔王と勇者による異世界ファンタジー漫画ですが、その中身はビジネススキルがテーマになっていたり、勇者という存在をテーマにした人間ドラマだったりと、変わり種のストーリーが楽しめます。
異世界漫画の王道である、成り上がりやハーレムの展開はなく、話のメインは「魔王軍の立て直し」です。
さらに、そのアプローチが戦闘能力の成長とかではなく、「業務の効率化」「適切な部下育成」など、完全に現代ビジネスのテーマです。
自分で業務を抱え込んだり、適材適所の人員配置が出来ないなど、現代ビジネスの問題に悩んでいる魔王軍に対して、なぜかそのような問題の解決方法に精通している勇者レオが、彼らを成長させます。
このように、表面上は異世界マンガですが、中身は他の異世界漫画と一線を画しており、独自の展開が楽しめます。
ビジネス書として意外と実用的な部分もあり、異世界漫画好きのビジネスマンにもオススメできる作品です。
オススメポイント
魔王を倒した勇者がなぜか魔王軍に加わる
ビジネススキルに精通した勇者
戦闘訓練ではなく、ビジネススキルのレクチャーで魔王軍を立て直す
野人転生
作品特徴
ジャンル:バトル・冒険
特殊な点:ファンタジー感ゼロの世界観
無双&ハーレム:無双ほぼなし、ハーレムなし
「野人」がファンタジー感ゼロの異世界を冒険する
名前とその見た目から、「野人」というあだ名をつけられている男は、神の都合で異世界に転生させられてしまいます。
近くに町などは見つからず、しばらく森の中でサバイバル生活を送ることになり・・という展開です。
現代人が異世界に転生させられるという設定は、王道のそれですが、転生後の展開が全くファンタジーな展開ではないところが、本作の面白いところです。
普通、異世界転生マンガはファンタジー世界を舞台にしているため、森の中に転生するものの、早めに街を見つけるか、異世界人に出会います。
しかし、本作では、しばらく人とは出会わず、一人で森をサバイバルすることになります。
攻撃魔法を習得することもなく、モンスターや悪党とは空手で戦います。
強力な攻撃で気持ちよく無双することはなく、地味な戦い方で勝利を収めたり、苦戦することもしばしばあります。
一応異世界を旅するという、異世界転生マンガのストーリー展開に沿う形にはなりますが、ファンタジー感・無双展開・ハーレム展開はほとんど見られません。
それでいて、女性キャラとの出会いや強敵とのバトル、非道な悪党に立ち向かうバトル展開など、のめりこませてくれるストーリー展開もあり、読み応えはしっかりあります。
異世界ファンタジーのお約束展開に頼らずに、読み手を引き込んでくれるので、マンガを見る目が肥えている人にもおすすめできます。
オススメポイント
「野人」と呼ばれるワイルドな主人公
転生直後は、誰とも出会わずしばらく森でサバイバル
異世界なのに空手などで地味に戦うバトル展開
軍師様は異世界勇者が気に入らない
作品特徴
ジャンル:ギャグ
特殊な点:転生勇者が現世に帰される展開
無双&ハーレム:無双ほぼ無し、ハーレムほぼ無し
転生勇者が心を折られ現世に帰されていくストーリー展開
ファンタジー世界の軍師・サイラスが仕える国は、隣の国から攻め込んでくる転生勇者に手を焼いています。
軍師である彼は、異世界からの勇者を撃退する使命を受けます。
彼は、とある特殊な能力を持っており、それを駆使して異世界勇者を撃退する・・という展開です。
本作は、まず主人公が異世界転生勇者ではなく、彼らと敵対する立場であるという点が珍しいです。
異世界転生漫画というと、普通は現世に生きている主人公が、異世界ファンタジー世界へ転生するパターンが王道です。
サイラスには戦闘力はなく、とある特殊能力と頭脳を使って、勇者として転生してきた現代人の心を折り、現世に帰していく展開が楽しめます。
異世界転生作品のパロディ色が異常に強く、コメディも楽しめる作品になっています。
ハーレム状態の勇者、相手のステータスを覗ける勇者、村人設定された勇者・・など色々な「異世界転生あるある勇者」達を、サイラスがどう心を折るかが面白い作品です。
このように、転生者を敵とするだけではなく、「異世界あるある」な展開を逆手に取り、パロディとして扱っているところがかなり個性的な作品です。
そのため、「異世界もう帰りたい」と同様に、このジャンルの王道展開に飽き気味の人にオススメしたい作品です。
オススメポイント
転生者が敵という展開
転生者の心を折って現世に帰す主人公
「異世界転生あるある」を描くコメディマンガ
誰にでもできる影から助ける魔王討伐
作品特徴
ジャンル:バトル
特殊な点:現代社会の中間管理職のような苦悩が読める
無双&ハーレム:無双たまにあり、ハーレム無し
ファンタジー世界を舞台にした中間管理職の苦悩の物語
教会に勤める神官であるアレスは、異世界から召喚されてくる勇者をサポートし、魔王討伐を成功させるというという使命を受けます。
しかし、現世から召喚されてくる勇者だけでなく、同行する魔法使いや剣士も未熟であり、また勇者から、のけ者にされ・・という展開です。
本作は 主人公が転生勇者ではなく、それをサポートする立場の神官です。
神官のアレスは、強力な力を持ちながら、あくまでサポート役であり、未熟な勇者や他の仲間たちを何とか鍛えなければならないという使命を課されます。
このような、なかなかの無茶ぶりがアレス一人に押し付けられますが、彼はそんな状況はお構い無しに、「これはビジネスだから、やり遂げなければいけない」と任務に向き合います。
そんなアレスは、あの手この手で勇者パーティーを導こうとしますが、現実がわからず、楽観主義で、理想ばかり唱える勇者に困惑します。
アレス自身も、個人としての戦闘能力は高いものの、合理主義すぎて、パーティメンバーとそりが合いません。
このように、アレスと勇者や他の仲間たちの実力や意識が違いすぎてそりが合わず、パーティーは空回りし続けます。
このような姿を見ていると、剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしていますが、中間管理職の奮闘物語を見ていているような気持ちになります。
そのため、本作は異世界転生をテーマにしていますが、会社員の物語を描いたリアル寄りの漫画だと思います。
ファンタジー世界が舞台ですが、理不尽な環境で奮闘するサラリーマン的な物語として楽しめるため、異世界漫画に興味がない人でも楽しめると思います。
オススメポイント
転生者が主人公ではない変則的な設定
理不尽な命令に従って未熟な若者をサポートする展開
バトルよりも中間管理職としての奮闘ぶりがメイン
多すぎる分、変わり種の作品もたくさん登場する
以上のように、「異世界漫画多すぎ!」と愚痴りたくなるあなたにもオススメできる、変わり種の作品を紹介しました。
それらは、異世界漫画の王道を無視したり、パロディにした作品が多くあります。
そういう作品は、亜流である分、王道からはひねりを入れているので、設定や、展開が凝ったものになりやすく、読み応えのある作品になると思います。
王道作品は嫌いな人でも、こういう作品に絞って読んでみれば、異世界転生マンガは楽しめるでしょう。