異世界転生漫画は、その名前のとおり、異世界に、転生(召喚)されたキャラクターによる物語です。
そのため、主人公は転生者になることが普通です。
しかし、このジャンルの流行によって、実にたくさんの作品が生まれ、その結果様々に凝られた設定の作品が生まれています。
その中には、「転生者が主人公ではない」というパターンの作品も多く登場するようになりました。
彼らは、転生者を導いたり、監視したり、敵対したりと色々な関係が楽しめます。
今回は、毎日365日異世界漫画を読んでいる私が、「転生していないキャラが主人公」という作品の中で、オススメしたい作品をまとめました。
Contents
誰にでもできる影から助ける魔王討伐
作品特徴
主人公の立場:転生した勇者を魔王討伐に導く
転生者との関係:なにかと対立
転生者のキャラクター:能力は高いが残念思考
残念勇者を導く僧侶の悪戦苦闘の物語
剣と魔法のファンタジー世界の神官・アレスは、現世から召喚されてきた勇者の魔王討伐をサポートする役を受けます。
しかし、勇者の藤堂は正義感は強いものの、すぐ無理をしようとし、彼に付き添う剣士や魔法使いは血筋だけは良い未熟者です。
そんな一筋縄ではいかないメンツを、なんとかして魔王討伐を果たさせるために悪戦苦闘する…という展開です。
本作は、転生者である勇者が主人公ではなく、彼を支える神官が主人公です。
神官であるアレスは作中最強クラスの戦闘力があり、勇者たちに効率的に成長できるプランを示します。
しかし、正義感だけ強くて勇んでしまう勇者と、血筋だけは一人前の剣士や魔法使いと、なかなか噛み合わず、討伐の旅は問題ばかり起きます。
このような大変な状況を、アレスは教会の上層部に報告しますが、彼らからは具体的な改善策は出されず、「とにかくやれ」と言わんばかりの返答しかされません。
構図としては完全に、「無茶振りをする上司(教会)と使えない部下(勇者達)に苦しむ中間管理職のアレス」という形になっており、ビジネスマンなら嫌でも共感してしまう作品になっています。
主人公が非転生者の場合、大体は強力な転生者のチートぶりに振り回される展開が多いのですが、本作では逆に、転生者とその取り巻きのポンコツ振りに振り回される展開になっています。
ポンコツ達に苦しめられながらもあがく、中間管理職の悲哀が描かれた作品であり、ファンタジー世界が舞台なのに、サラリーマンの苦労が体験できる不思議な作品です。
オススメポイント
転生してきたのに珍しいポンコツ勇者
無理難題を突きつけられる主人公
ファンタジー世界なのに中間管理職の悲哀が見られる
地方騎士ハンスの受難
作品特徴
主人公の立場:転生者たちの監督役
転生者との関係:頼られる保護者的な存在
転生者のキャラクター:個性豊かなキャラが複数登場
次々現れる転生「ニホンジン」に頭を抱える駐在騎士
田舎の村の駐在騎士として生活するハンスの元に、「ニホン」から来たと言う青年が現れます。
彼は魔獣を自在に扱うチート能力があり、周りを驚かせます。
そしてそれだけではなく、さらに続々と色々なチート能力を持った、「ニホンジン」と名乗る若者達がハンスの村に現れる・・という展開です。
本作は、非転生者である地方騎士のハンスが主人公で、しかも転生者か複数人いるという珍しいパターンです。
田舎を舞台にして、ハンスの周りに起こる色々な事件を、転生者が活躍しながら解決していくという展開が楽しめます。
ジャンルとしてはコメディ多めですが、バトルやスローライフ的な展開もあります。
また、転生者のキャラクターも様々で、義理人情に堅い魔獣使いや、大人しい文化系の治癒魔法使い、身体能力が異常なほど高いパワフルな少女などの、個性豊かなキャラが登場します。
そんな彼らは、剣の実力だけでなく人柄の評判もよく、周りから慕われる騎士ハンスのことを慕い、ハンスの村で起こる様々な事件をチート能力で解決していく様子が楽しめます。
転生者は彼らだけでなく、敵役としてもたくさんのキャラクターが登場し、転生者間でのバトルや、コメディタッチのやり取りも楽しめます。
このような特徴のある本作ですが、とにかくたくさんの個性豊かな転生者が登場するので、「どんなキャラが登場するだろうか」という視点で楽しむのが良いでしょう。
オススメポイント
転生&チート持ちがたくさん登場
個性豊かな転生者キャラによるドタバタ劇
バトルやスローライフなどの色々な要素
軍師様は異世界勇者が気に入らない ‐ラノベの知識でチート封じ‐
作品特徴
主人公の立場:転生勇者を召喚する国の敵国軍師
転生者との関係:転生者と敵対
転生者のキャラクター:様々なチートキャラが複数登場
転生勇者が心を折られて現世に帰る物語
本作は、対立する敵国から異世界召喚されたチート勇者が送り込まれ、それを迎え撃つ軍師・サイラスが主人公の物語です。
サイラスは、現世の書店に繋がる扉を使うことができ、そこでラノベを読み漁ることで、召喚されてくる優者の能力や対処法を掴み、色々な方法で撃退します。
敵国で召喚され、チート能力で意気揚々とやってくる彼らを、サイラスはあの手この手で心を折り、現世に帰していきます。
普通、異世界転生マンガでは、非転生者が主人公と言っても、転生者が味方サイドであるものがです。
しかし本作では、そんな常識を覆しています。
転生者は敵サイドで、やってくるチート転生者をいかに撃退するかという展開になっています。
これが普通の異世界転生マンガとは大きく違う特徴になっており、他の漫画では見られない面白さがあります。
ちなみに、サイラスには戦闘能力は一切なく、バトル展開はありません。
例えば、ハーレムを侍らせている勇者に対し、女性キャラ達でイザコザを起こさせて、勇者の心を折り、現世に帰らせるような戦い方をします。
他にも、「強力な魔法使い」「相手のステータスを見抜く」など、よくある異世界転生勇者の能力を題材にしており、異世界転生漫画のパロディ要素が多く見られます。
他の漫画では主人公として無双するような強力なキャラを、武力でやっつけるのではなく、いかにして弱点をつき、心を折るかという戦いが本作の魅力です。
「異世界転生モノあるある」がたくさん見られるので、このジャンルをよく読んでいる人ほど楽しめるでしょう。
オススメポイント
召喚勇者を撃退していく物語
ギャク展開混じりで勇者の心を折る様子が楽しい
異世界転生漫画のパロディが面白い
この世界で9番目ぐらいな俺、異世界人の監視役に駆り出されました
作品特徴
主人公の立場:転生者たちの監視役
転生者との関係:クラスメイト(実は監視対象)
転生者のキャラクター:優等生・マイペース・かませ犬・腐女子
どうしても目立ってしまう監視役
剣と魔法のファンタジー世界で、異能スキルを持ち、世界最高クラスの力をもつアリシアは、自身が所属する組織から、とある指令を受けます。
それは、「召喚されてくる異世界勇者を監視すること」でした。
勇者たちが入学する学園に同じく入学したアリシアは、同じ生徒として接しながら、彼らの監視をしていく・・という展開です。
この作品も、複数の転生者が登場する珍しいパターンです。
しかも、転生者か複数いながらも、この作品のメインは、「目立たない監視役なのに無双&モテて目立ってしまう主人公」という展開です。
入学試験で、なるべく目立たぬように、合格ギリギリのラインで受かるように力を加減しようとしますが、結局派手に魔法をぶっ放して目立ちます。
また、悩む女性の転生者を軽い気持ちで励ましたところ、相手を勘違いさせるようなセリフになってしまい、異性として意識させてしまいます。
異世界転生作品の一つの構成として、「転生でチート能力をもらって、なるべく目立たずに生活したいのに、ついつい目立ってしまう僕」というパターンがあります。
本作は、それを「わざわざ転生者がいるのに、非転生者がやってしまう」という構図になっていると言えます。
また、転生者の中には、他のキャラを小馬鹿にしたり、アリシアに嫉妬するような「いかにもな当て馬キャラ」がいたり、アリシアを見て萌えてしまう腐女子がいたりと、他の転生者にはいないような変わったキャラクターもいます。
ちなみに、ここで紹介した他の作品でも、転生者は主人公ではなくても、主役に近いような立場になるのですが、本作では転生者が割とぞんざいに扱われているのも新鮮です。
オススメポイント
複数の転生者が登場
転生者を差し置いて非転生者が無双&モテてしまう
転生者の中に当て馬キャラ・腐女子が存在
レジェンド・オブ・イシュリーン
作品特徴
主人公の立場:転生者と協力して成り上がる
転生者との関係:従者であり、親密な協力者
転生者のキャラクター:ごく普通の日本人
嵌められた王家の娘と普通のサラリーマンが覇道を歩む
王族の娘ながら、戦争に参加しているイシュリーンは、不利な戦況の中、玉砕覚悟で戦う司令を受けます。
家臣の説得で戦地から逃げ出したイシュリーンは、ボロボロのなか、現瀬から転生してきたサトウナルという青年と出会い、ともに成り上がっていく・・という展開です。
本作は、ファンタジー世界が舞台で、転生者がいながら無双&ハーレムとは程遠いストーリー展開です。
主人公は、王族の娘イシュリーンと、転生者のサトウナルの二人です。
転生者であるナルには、転生に関するボーナスは一切なく、チート能力でイシュリーンを救うという、都合の良い展開にははなりません。
武力ゼロの自分が少しでもイシュリーンの助けになるべく、軍略や策略の面で師匠に教えを請い、段々と参謀として無双していくという展開です。
ジャンルとしては軍略・領土拡張モノで、王家の血筋がありながら力を失ってしまったイシュリーンが、ナルをはじめとした協力者の力を得て成り上がっていくことになります。
そのため、本作はハーレム的な展開もなく、代表的な異世界転生的な設定では全くありません。
どちらかというと、どん底からの成り上がり物語展開(歴史小説でよくみられる展開)に近いものがあります。
代表的な異世界転生の王道を楽しむのではなく、ファンタジー世界での成り上がり物語に、私達のような普通の人間が転生者として活躍していく様が楽しめます。
オススメポイント
転生者と非転生者のダブル主人公
無双出はなくどん底からのの成り上がりストーリー
転生ボーナスなしの青年が策謀で活躍
魔々ならぬ
作品特徴
主人公の立場:現実世界で生きる漫画家志望の青年
転生者との関係:現実世界に来た転生者を居候させる
転生者のキャラクター:個性派な魔術師や魔王など
クセのある魔術師や魔王が現実世界でドタバタ
現実世界に生きる漫画家志望の青年・サガンは、自分の日常に刺激がないことに悩んでいましたが、そんなとき、自動販売機の前で揉めている、ホームレス状態の魔王と魔術師にカツアゲされ・・という展開から始まる作品です。
本作は、現実世界にファンタジー世界のキャラが転生してくるというシチュエーションの作品で、色々なキャラクターに主人公が振り回されるという展開が楽しめます。
ギャグがメインの作品で、個性的なキャラクターが織りなすドタバタ劇が面白いです。
魔術師ヴィースは、背格好のスラっとした美女ですが、 ガサツな脳筋思考で、酒にハマるおっさんみたいな性格です。
魔法のアーバンは、黒髪が印象的な、物腰柔らかな雰囲気の美少女ですが、性根は腹黒で、ヴィースと罵り合います。
(出典:「魔々ならぬ」)
※右側の半ギレの美女がヴィース、左側の悪い表情をしている黒髪少女がサガン
そんなキャラクターたちが、現実世界で主人公の部屋に居候し、ぐうたら過ごす展開や、胡散臭い女神が登場して振り回されたりします。
また、ファンタジー世界の能力を身につけてしまい、超人的な能力を手に入れた少女が登場するなど、一癖も二癖もあるキャラクターが次々と登場し、ドタバタ劇が繰り広げられる 展開が楽しめます。
また、絵が綺麗なタッチであるところも魅力で、見た目は美人だったり美少女だったりするのですが、中身は残念なキャラクターなキャラクターも面白いところです。
オススメポイント
ファンタジー世界のキャラが現実世界に転生
ガサツな魔術師や腹黒な魔王など個性豊かなキャラ
現実世界で繰り広げられるドタバタコメディ
俺んちに来た女騎士と田舎暮らしすることになった件
作品特徴
主人公の立場:田舎暮らしの独身農家
転生者との関係:主人公と同棲生活
転生者のキャラクター:プライドが高いが素直な女騎士
ある夜、女騎士が自分の家を訪ねてきて・・
脱サラし、田舎で農業を営んでいる独身のおっさん主人公のもとに、ある夜一人の女騎士が駆け込んでくるところからストーリーが始まります。
本作は、現実世界を舞台にした作品で、田舎での農業生活が楽しめるスローライフ作品です 。
主人公は、現実世界の田舎に住むおっさんで、異世界ファンタジー世界の王道キャラである、女騎士と一緒に農業生活をするシチュエーションが楽しめます。
農業で収穫した野菜をおいしく調理する展開や、クリスが周りの田舎の人との交流が描かれたり、元の世界に帰れない寂しさが描かれるなど、バトルではなく、スローライフや人間ドラマを読むことができます。
また本作の大きな見どころが、主人公とクリスの恋愛展開で、二人が次第に惹かれあっていく様子が見られます。
クリスの方は、自分の心に素直になることが多いですが、主人公の方は年齢が上であったり、本来住む世界が違うというところから、どうしても腰が引けるスタンスになってしまいます。
そのため、おっさんの方が臆病になるという、もどかしさ感の強い展開になり、程よくモヤモヤさせてくれます。
このように、平和な現実世界の日常に、いきなり女騎士が現れるという事件が起こるものの、バトルなしのスローライフや人間ドラマを味わうことができる作品になっています。
オススメポイント
田舎の農家にいきなり女騎士がやってくる
現実世界を舞台にしたスローライフや恋愛展開が楽しめる
女騎士とおっさんのなかなか進展しないもどかしめな恋愛
異世界転生マンガの「あるあるネタ」が多い
以上のように、転生していないキャラが主人公の異世界漫画のうち、おすすめの作品を紹介してきました。
このタイプの作品は、異世界転生ジャンルをメタ的に見ることが多く、異世界あるあるネタやパロディが楽しめることが多いです。
普段からノーマルな異世界転生モノを読んでいれば読んでるほど、「異世界転生あるあるネタ」がわかるので、ノーマルな異世界転生作品をたくさん読んでいる人ほど、このタイプの作品が楽しめると思います。
王道展開の異世界転生マンガとは、ちょっと違う作品を読んでみたい人は参考にしてください。
↓こちらの記事でも、一味違った異世界漫画が楽しめます。